歌舞伎俳優の市川團十郎（４５）が１８日、都内で、来年１月の初春歌舞伎公演「平家女護島　恩愛麻絲央源平（おやこのきずななかもげんぺい）－ＳＡＮＥＭＯＲＩ　ＰＡＲＴ２」（６～２５日、新橋演舞場）の制作発表会見を行った。

　源平合戦時代を舞台に、親子の情愛を描いた作品。團十郎は俊寛、常盤御前、斎藤実盛の３役を演じ、ぼたんは実盛の娘・ひな鶴、新之助は常盤御前の息子・牛若丸（源義経）を演じる。３人はこれまで舞踊公演での共演はあるが、歌舞伎で同時に同じ舞台に上がるの初めてで、初共演が実の親子役となる。

　副題には２０１７年に乳がんのため死去した、團十郎の妻で２人の母である小林麻央さんから「麻」「央」の字が入れられた。團十郎は「（脚本の）石川（耕士）さんが、麻央のことを意識して、脚本を書いていて、麻央の文字を入れたいと。５、６個、題名をもらった中で、妻の名前が入った題名にさせていただいた」と明らかにした。

　ぼたんとは父と娘、新之助とは母と息子の関係性となる。新之助は「本来、お父さんなんですけど、役として女形をやってくれるので、少し違和感があるかも知れないけど…」と苦笑い。ぼたんは「最初に思ってることは、緊張、ドキドキというのがあって、その中でも３人で一緒に舞台に立てて、父とセリフを言い合えるのは本当に貴重な経験だと思うので、頑張りたいと思います」と意気込んだ。

　また、現実での親子愛について問われると、新之助は「何げなく、朝起きて、皆とご飯食べて、何げない一言が愛を感じるひとときだなと思います」としみじみ。ぼたんも「私は自転車が好きなので、父と一緒に行くんですけど、父が先に自転車をこいでいて、一緒に話したりすると、『これって幸せだな』って思う。そういう部分が絆というか、愛だと感じます」と笑顔で話した。

　成長著しい２人の受け答えに、團十郎は「今まで、年齢にそぐわないハードルの高い場面をちゃんと乗り越えて来てるなと、親目線で思う」とニッコリ。「プレッシャーをかけるというか、きっちり乗り越えてくれると思い、ある程度見放して取りかかりたいなと思います」と新春の舞台への思いも口にした。