歌手・近藤真彦（５９）が１２日、都内のホテルでディナーショー「Ｍａｓａｈｉｋｏ　Ｋｏｎｄｏ　Ｄｉｎｎｅｒ　Ｓｈｏｗ『１２月、風のバラッド』」東京公演を開催した。セットリストには「愚か者」をはじめ、１１月２４日に死去した作家・伊集院静さんが作詞した楽曲を４曲盛り込み、追悼唱を届けた。また、還暦を迎える来年７月１９日に、自身９年ぶりとなる日本武道館公演を開催することを発表した。

　恩人が紡ぎ出した言葉を、かみしめるように歌い上げた。

　伊集院さんが作詞した「愚か者」、「ＢＡＮＫＡ～男たちの挽歌～」、「男が目を閉じる時」、「大人の流儀」の４曲を熱唱。「全部が男同士の渋い友情を歌った詞。どちらかが亡くなってしまう歌詞が多いからリアルでしびれちゃうんだよね」としみじみ話した。

　出会いは、デビュー曲「スニーカーぶる～す」のＢ面「ホンモク・ラット」の作詞を伊集院さんが手がけたこと。以来、公私にわたり親交を深めた。最優秀新人賞を受賞した「ギンギラギンにさりげなく」や、母親が死去した翌年にレコード大賞を受賞した「愚か者」は、自身の人生になくてはならない楽曲となった。「節目節目で伊集院さんがいてくれた。兄貴のような存在だった」と述懐した。

　「伊集院先生に、『愚か者』ってどういう思いで書かれたんですかって聞いたら『新橋の酔っぱらいの歌だ、ひたすら歌い続けなさい』って。２２歳の時にいただいた曲ですが、６０くらいになって染み入ってきますね」と実感を込めた。「大切な歌。これからも大事に歌っていきたい」と誓った。

　くしくも、この日は４３年前にデビューした記念日。来年の誕生日に開催する日本武道館公演のタイトル「Ｔｈａｎｋ　ｙｏｕ　ｖｅｒｙ　マッチ」に「昭和を代表するコテコテなタイトルになっております」と笑いつつ、「デビューした時は、６０になっても武道館に立てるなんて、思いもしなかった。何とか成功させたいね」と決意をにじませた。