俳優・綾野剛らを動画投稿サイトで脅迫したとして、暴力行為違反（常習的脅迫）や強要、証人威迫など五つの罪に問われた元参院議員のガーシー（本名・東谷義和）被告（５２）の第３回公判が２１日、東京地裁で行われた。ガーシー被告は前回の公判と同様、黒髪に黒のスーツ、黒ネクタイ姿で出廷し、被告人質問に臨み、６月４日に帰国した際の状況について、赤裸々に語った。

　滞在していたアラブ首長国連邦（ＵＡＥ）側は、ドラマか映画のような周到な作戦を実行していたという。食事に出かけようと地下駐車場にある車に乗り込んだところ「ストリート風の格好をした十数人の若者に取り囲まれ、『降りろ』と言われた」。ガーシー被告が「誰だ」と問うと、「警察だ」と答えがあり、その証明を求めたが拒否され、後ろ手に手錠をかけられ、車に乗せられたという。

　車は砂漠を１時間半ほど走行。ガーシー被告は「殺されると思った」と死を覚悟したという。連行された先はイミグレーションで、そこで一度は「（日本に）帰りたくないです」と訴えたものの「殺されるより、日本に帰って償おうという気持ちでいっぱいになった」と翻意したと説明。パスポートは失効していたものの、ビザは「アクティブ（有効）」だったというが、帰国へ前向きな気持ちになったとした。

　帰国の途につく空港の搭乗ゲートでは「迎えはいない」と言われ、搭乗券とパスポート、そしてシェイクシャックバーガーを手渡されたという。ガーシー被告は、帰国後即逮捕された。

　この日の公判でガーシー被告は、被害者に対し「申し訳なかったです」などと改めて謝罪。動画投稿サイトでの怒鳴り口調や、どう喝めいた言葉は全て「演技だった」と本意ではなかったと主張した。