岡山天音 菅田将暉らに「救われましたね、ドロドロになっていたので」 主演「笑いのカイブツ」体現の舞台裏
主演から脇役まで、日本の映画やドラマには欠かせない若き名優・岡山天音(29)の主演映画「笑いのカイブツ」が、来年1月5日に公開される。伝説のハガキ職人と呼ばれ、現在は作家などで活躍するツチヤタカユキ氏の私小説を映像化。主人公ツチヤを演じる岡山が、ツチヤ氏とともにデイリースポーツのインタビューに応じ、笑いに取りつかれた男の半生を演じた舞台裏を明かした。
テレビの大喜利番組にネタを投稿することを生きがいに、5秒に1本ネタを考える。岡山演じるツチヤが持つ、時に狂気を感じさせるほど笑いにストイックな姿は、見る者を引き寄せる引力を持つ一方で、現代社会での生きづらさにつながる“異質さ”も際立つ。
ようやくたどり着いたお笑い劇場の作家見習いの仕事も続かず、その後は芸人のラジオ番組への投稿がきっかけで実力が認められ上京するも「人間関係不得意」さが首をもたげてうまくいかない…。そんな“カイブツ”を演じる際には文字通り地べたをはいつくばり、全身びしょぬれになるシーンもあった。
撮影中は「基本的に全部大変だった」と振り返るが、旧知の仲である俳優・菅田将暉(30)ら周囲に「救われましたね。自分がドロドロになっていたので、僕のことをあんまり知らない人だったら、あまり近寄りがたいとなってしまったかも。でも普段みたいな会話をしてくれて、人の体温を感じられる現場だった」と語る。
岡山とツチヤ氏は撮影前には顔を合わせず、岡山は「(ツチヤ像は)結構オリジナル」と話すが、ツチヤ氏は「僕を知っている人で試写に来た人からは『ツチヤそのものやった』って」と苦笑い。取材中、その話を初めて聞いた岡山は「うれしいです」と照れくさそうに笑った。
ツチヤ氏は「試写会でみんなが最後のところで泣いているのを見て…。誰からも理解されない人生だったんで、それがみんなが泣いているのを見て(自分と社会を)つないでくれたな」と感激。そして「宇宙人が人間と初めてつないでもらって通じ合えたみたいな感じかな」と例えた。
「日々生きていく中で、違和感を抱いている人、何かしっくりこないと引っかかっている人に見に来てほしい」と呼びかけた岡山。ぶっ飛んでるはずの“カイブツ”は、案外誰の心の中にもいるのかもしれない。
◆岡山天音(おかやま・あまね)1994年6月17日生まれ、東京都出身。09年、NHK「中学生日記 シリーズ・転校生(1)~少年は天の音を聴く~」で俳優デビュー。役名「岡山天音」を芸名にする。19年、映画「王様になれ」で単独初主演。来年1月12日公開予定の映画「ある閉ざされた雪の山荘で」にも出演。テレビや舞台、ラジオ、CMなど幅広く活躍中。