宝塚 月組・彩海せら 堂々のバウ初主演 孤高の天才の苦悩描き出す
宝塚歌劇団月組スター彩海せらのバウ初主演作「Golden Dead Schiele」が24日、宝塚バウホールで初日を迎えた。
28歳で早世した天才画家エゴン・シーレの生涯をミュージカル化した作品。彩海は三拍子そろった実力派らしく、初主演とは思えぬ落ち着いた芝居運びで、孤高の天才をつむぎ、観客を物語り世界に引き込んだ。歌声にも情感がこもり、師匠でもあるクリムト(夢奈瑠音)との歌も、心に響いた。
シーレのモデルで恋人のヴァリ役の白川りりがヒロイン格。歌声も可憐で、フィナーレのデュエットダンスも清々しさを見せた。また可愛がっていた妹ゲルティ(澪花えりさ)、踊り子のモア(羽音みか)、後に妻となるエディット(花妃舞音)、その姉のアデーレ(菜々野あり)など次々とシーレの人生を彩った。
実在のシーレは、モデル代にことかき、妹をモデルにヌードをデッサンしたり、14歳の少女誘拐の容疑で逮捕されたり、愛人や妻だけではなく、妻の姉とも関係を持つなど、鮮烈な人生を歩んだ人物。そんなシーレを、宝塚らしく、心の奥に抱えた傷のすべてを絵筆に込め、波乱の人生を駆け抜けていった孤高の画家として描いた。
シーレのまとわりつく死の幻影の彩音星凪もセリフはほとんどないものの、存在感を見せた。またシーレの心象でもある線描のダンサーも、裸足のコンテンポラリーダンスで雰囲気を盛り上げた。
4日まで。