【山田美保子のミホコは見ていた!】漫画原作ドラマ急増で改めるべきこと

 昨年10月期、日本テレビ系で放送された連続ドラマ「セクシー田中さん」の原作でも知られた人気漫画家の芦原妃名子さんが1月29日に急逝されたことを受け、30日、「契約などのお悩みがございましたら協会までご相談ください。専門知識、また経験則もある人間が対応します」と公式Xを更新したのは日本漫画家協会。

 同日、「日本映画製作者連盟」の「新年記者発表」が行われ、出席した松竹・東宝・東映・KADOKAWAの大手4社の代表取締役社長らからも原作者とのコミュニケーションの重要性についての言及があった。

 そうした“コミュニケーション”について「グッド!モーニング」(テレビ朝日系)の取材に答えたのはベテラン脚本家の伴一彦氏だ。今回の件で仕事関係者と話をしたという氏は「もめるから脚本家と(原作者とを)会わせない慣習があったという話も聞いた」とし、「でもそれは逆であって、僕がやってきたように原作者とコミュニケーションを取りながら納得できる形でやるのが一番いいと思う」とコメント。さらに氏は「原作者と脚本家はどう共存できるのか」という緊急対談をYouTubeで行い、Xでは「脚本家の意向で全てが決まるわけではないということだけはまずお伝えしておきます」とも記している。

 他にも多くの漫画家さんや漫画原作のドラマや映画の脚本を担当された方たちから、それぞれの立場や経験を踏まえたコメントやメッセージが多数発信されている。仕事柄、テレビ局にも出版社にも出入りしている私には共感させられるものが実に多い。

 そんな中、「それは少し古い話ではないか」と思えたものもある。テレビ局の人間がドラマの原作者である漫画家や小説家の方々に対し、“上から目線”で「ドラマにしてやる」という態度で接している…というものだ。

 確かにテレビがイケイケだった時代には、見ている人の数の多さや影響力の違いから、紙メディアの人たちに、テレビマンたちがそれこそ上から目線なのを日々目にしてきた。

 また、小説家や大学教授、プランナーなどタレント以外のいわゆる文化人らがテレビに出演する際、「スタッフが『出してやる』という態度だった」「失礼極まりない」などと憤慨しているのを間近で見たこともあった。

 これらはバラエティーや情報番組のベテランスタッフにとっては“あるある話”と言っていいと思うが、いまそのような話はほとんど聞こえてこない。もしもそうしたことが起き、エスカレートしていった場合には、局内のホットラインや社外窓口が素早く対応することとなっているはずだ。

 ではドラマ界隈ではどうか。現在は各局にドラマ枠が増え、原作ものの数も昔の比ではなく多い。視聴率も獲れてグッズ展開や配信などで好成績をおさめているのも漫画原作のドラマが目立って多い。

 そして版元の出版社にとってはドラマのオンエアによって原作本が売れるという最大のメリットがある。つまり、漫画原作もののドラマ化は本来、テレビ局も出版社も“WIN WIN”になるはずであり、近年、出版社の多くはテレビ局に原作を売り込む専門部署まで設けている。

 こうした背景を踏まえても、テレビ局のドラマスタッフと出版社の担当スタッフとの関係は昔に比べて大きく改善されているとばかり思っていたのだが逆だったのだろうか。

 同じことが繰り返されないためには今回の件についての検証の実施やルール化、そして伴一彦氏が指摘していらしたように、ドラマスタッフは原作者とのコミュニケーションをより一層丁寧に頻繁にとるべきなのだろう。

 芦原妃名子さんの御冥福を心より御祈り申し上げます。合掌。

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