「はじめの一歩」などで知られる漫画家の森川ジョージ氏が１日、「漫画の映像化。漫画家さんの特に新人さんに向けて。」として「はじめの一歩」が映像化の経験をＳＮＳでつづった。

　同作の連載開始後すぐにアニメ化や映画化の話が届くも「全然興味がなかったのでお断りし続けました」と回想。その後、ある会社に「４０巻買ってくれた読者を失望させないでほしい」と条件を出し映像化が進んだという。

　しかし、「２話目を観てすぐに『約束と違う、今すぐやめてくれ。やめないなら僕が連載をやめる』と制作会社言いに行きました」と声を上げることに。「関係者全員パニックです。でも自分は納得いかなかった。会議の末『必ずクオリティを上げる』という言葉を貰いとりあえずは引きました」と振り返った。

　その後は「素晴らしいデキになり信頼関係ができて脚本チェックもしなくなり全面的にお任せしました」と、監督へ感謝するほど納得のいく仕上がりになっていったという。

　森川氏は「一生懸命やってくれているのは承知の上だったので『申し訳ない』という気持ちと『納得できない』という気持ちが入り混ざり、しかし優先すべきは読者だと自分に言い聞かせ行動しました」と思い返した。さらに、「走り出したものを止めるのはエネルギーを使うし勇気がいります。自分もあの時の心労は思い出したくもないです」と吐露。「作品と読者を守れるのは原作者だけで、その責務があります。尊敬と感謝を忘れずに、そして堂々と自分の意見を言ってほしいと思います」と記した。

　一方で「原作を改変、脚色して成功した例も山ほどあります」と例も挙げ、「そもそも漫画と映像では演出方法に大きな違いがあり原作そのままというのは至難の業です。原作者を含め全員が尊敬と感謝をもって携わることが一番なのだと思います」と総括。「これは自分だけの主観的な意見なので一つの参考としてとどめておいて下さい」と伝えた。