「セクシー田中さん」作者が放送前にドラマ化の約束事を本に明記、制作側に「意向伝わっていた」と小学館編集者
日本テレビ系で昨年10月22日に放送を開始した連続ドラマ「セクシー田中さん」の原作者で漫画家の芦原妃名子さんが1月29日に急死したことを受け、8日、同作を小学館の第一コミック局編集者一同がコメントを発表した。
「現場の編集者」たちはまず、「深い悲しみと共に、強い悔恨の中にいます」と記し、「芦原先生は、皆様が作品を読んでご想像されるとおり、とても誠実で優しい方でした。そして、常にフェアな方でもありました」と芦原さんの人柄を伝えた。
そして、著作権には利益を守る「著作財産権」と著者の心を守る「著作者人格権」があることを詳しく説明。「今回、その当然守られてしかるべき原作者の権利を主張された芦原先生が非業の死を遂げられました。」と悔やんだ。
ドラマの放送前に発売された「セクシー田中さん」第7巻冒頭には、2023年8月31日付で「原作の完結前の映像化」についての芦原さんのメッセージが掲載されていたことも説明。
〈まだまだ連載半ばの作品なので、賛否両論あると思いますが キャラやあらすじ等、原作から大きく逸れたと私が感じた箇所はしっかり修正させて頂いている〉〈物語終盤の原作にはまだないオリジナルの展開や、そこに向かう為の必要なアレンジについては、あらすじからセリフに至るまで全て私が書かせて頂いてます。恐らく8話以降に収録されるはず。〉と事前の約束事について言及していたことを明かした。
さらに「先生は〈恐らくめちゃくちゃうざかったと思います…。〉とも書いていらっしゃいました。」と伝え、「著者の意向が尊重されることは当たり前のことであり、断じて我が儘や鬱陶しい行為などではありません。守られるべき権利を守りたいと声を上げることに、勇気が必要な状況であってはならない。私たち編集者がついていながら、このようなことを感じさせたことが悔やまれてなりません。」と記述。
「二度と原作者がこのような思いをしないためにも、『著作者人格権』という著者が持つ絶対的な権利について周知徹底し、著者の意向は必ず尊重され、意見を言うことは当然のことであるという認識を拡げることこそが、再発防止において核となる部分だと考えています。」と再発防止にも言及。「個人に責任を負わせるのではなく、組織として今回の検証を引き続き行って参ります。」とした。
その上で「ドラマ放送開始前に7巻が発売されているという時系列からも、ドラマ制作にあたってくださっていたスタッフの皆様にはご意向が伝わっていた状況は事実かと思います」と記している。