松本まりか 因縁の地で再確認した女優の歩き方 20年前に苦い記憶も背中押され再び挑戦

 女優の松本まりか(39)が、24日にスタートするテレビ大阪のドラマ「地球の歩き方」(土曜、深夜0・55。BSテレ東でも放送)のサイパン編に登場する。海外旅行のバイブルを原案に虚実入り混じった物語が展開される新感覚ドラマ。苦い記憶が残るサイパンで演技の原点に立ち戻り「運命だった」と振り返る撮影は、どのようなものだったのか-。望外の転機を迎え、取材に応じた松本の口調は熱を帯びた。

 撮影を振り返るうち、松本の瞳は潤み、ついには涙がこぼれ落ちた。両手でぬぐい、照れ笑いする。「1人で見つけた物はきっと面白くなくて、自分の枠から広がって、化学反応が起きて、見つけていく。そういう仕事の仕方をこれからもしていきたいと思える理想的な現場でした」。記憶をかみしめるように回想した。

 大まかな構成以外は現地で「物語」を見つけていくドキュメンタリータッチの異色作。韓国編の三吉彩花、タイ編の森山未來に続く3人目の“旅人”としてサイパンを訪れた。

 苦い記憶以外は何もないと思っていた南国の地。15歳のときにグラビア撮影で訪れてから6回連続で渡航したが、いい思い出がなく、本作まで約20年間、敬遠していたと明かす。

 スタッフとロケ地を模索する中でサイパンへの思いを吐露すると「行くしかない」と背中を押された。「みんなが『何かある』と言う方に賭けたい思いもあって、複雑な気持ちでしたけど、それを凌駕するものを見つけなきゃいけないというのがモチベーションでした」。挑戦は吉と出る。

 現地で「物語」の落としどころを探し、見えないゴールに向かう。毎晩、スタッフと食事を囲み、全員でディスカッションしながら作品を作り上げたという。決められたセリフはなく、即興で言葉と身体の表現を紡いでいく。作品作りの醍醐味(だいごみ)と演技の原点に立ち戻り「すごく心揺さぶられるものでした」と、すべてが新鮮だった。

 因縁の地を再訪し、イチ演者を超えて作品に飛び込み、全員で答えを探し求めた日々を「運命だった」と振り返る。1月に所属事務所を移籍。「ストーリーがありますよね。初海外がサイパンで、20年以上行ってなくて、今、自分の人生が変わっているタイミングでサイパン。サイパンであるべきだったというか、それ以上ないでしょってくらい、最初のスタートとして大事なものを持って帰ってきた。この旅で自分の人生にとってとても大きな、本当に大事な気付きを得たという確信があります」。“女優の歩き方”を再確認する、得がたい旅となった。

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