宝塚 月組次期トップの鳳月杏 平成以降56人のうち唯一&最年長&上級生の異例尽くし就任
宝塚歌劇団は29日、7月8日付で次期月組トップスターに鳳月杏(ほうづき・あん)、次期トップ娘役に天紫珠李(あまし・じゅり)の就任が決定したと発表した。現トップスターの月城かなと、トップ娘役の海乃美月は同年7月7日付で退団する。
鳳月は初舞台から19年目での就任。平成以降56人のトップ(次期花組トップ永久輝せあを含む)で、これまで最年長トップ就任だったのは研18(初舞台から18年目)の大空祐飛(宙組)と北翔海莉(星組)で、今回それを超す最も遅咲きトップとなる。
また前任となる月城より3学年上級生。組替えで上級生がやってきてトップになる例は近年では2009年の宙組の大和悠河→大空祐飛(花から組替、3学年上)、2012年の雪組の音月桂→壮一帆(花から組替え、2学年上)、2015年の柚希礼音→北翔海莉(専科から組替え、1学年上)らがいる。だが組内で上級生にトップのバトンが渡されるのは、1995年に月組で天海祐希から4学年上の久世星佳になって以来となる。
宝塚は入団7年目までの劇団員だけで上演される新公で主演した生徒が、トップに就任してきた。鳳月はラストチャンスだった研7の「ベルサイユのばら」新人公演で、当時の準トップ役だったアンドレを演じたが、主演は一度もない。
平成以降の56人のトップで、新公を主演していないのは、元雪組トップ朝海ひかるだけ。その朝海は新公の代わりに、研10の時に異例の役替わり公演が行われ、それに主演し、トップになっており、大劇場で一度も主演していないのは鳳月だけとなる。
だが鳳月はそれらの“異例”をはねのける実力の持ち主。2006年入団後に月組に配属され、14年12月に花組に組替え、19年4月に再び月組に組替えとなったが、典型的な二枚目から悪役、さらにはコミカルな役や女役もこなす芝居巧者。花組時代の「CASANOVA」では、全曲を書き下ろしたフランスの作曲家ドーヴ・アチア氏が特筆すべき生徒として当時のトップコンビの他に唯一、鳳月の名前を挙げたほど。花組トップだった明日海りおも「鳳月はこんなにすごいんだぞ」とその実力を称えていた。さらには172センチの長身で、超絶スタイルで、芝居、歌はもちろん、ダンスも上手く三拍子揃っている。
プレお披露目公演は8月22日~9月16日の全国ツアー「琥珀色の雨にぬれて」「Grande TAKARAZUKA 110!」。人望もあり、下級生で慕う生徒も多い。ファンの多くもトップを待ち望んでいたこともあり、さらなる飛躍が期待される。