TARAKOさん急死 63歳 「ちびまる子ちゃん」34年 日本アニメ界に連日の衝撃
アニメ「ちびまる子ちゃん」の主人公・まる子役で知られる、声優のTARAKO(たらこ)さんが4日未明、亡くなったことが9日、分かった。63歳。群馬県出身。所属事務所などによると今年に入って闘病しながら仕事をしていたが、容体が急変したという。葬儀は近親者で行われ、後日、お別れの会を検討している。8日には漫画家・鳥山明さんの逝去が明らかになったばかり。日本アニメ界に再び悲しみが広がった。
お調子もので、怠け者。でもどこか憎めない。自分を「あたしゃ」、相手を「あんた」と呼ぶ大人びた小学3年生を34年の長きにわたって熱演。国民的な人気者「まるちゃん」を作り上げた名優が逝った。
所属事務所などによると、TARAKOさんは今年に入ってから体調を崩し、闘病しながらもアフレコなどの仕事を続けていたが、容体が急変。最後まで「まる子」を演じ続けることを望み、「ちびまる子ちゃん」の制作スタッフへ、病棟からのアフレコ収録を申し出ていたという。
1981年にアニメ「うる星やつら」でデビューしたが、声優だけでは生計を立てられず、バイトの日々を過ごした。転機は90年。「ちびまる子ちゃん」原作者のさくらももこさんと声が似ていたことが決め手となり、主役に。まる子役は、当初は違う声優に決まっていたが、オーディションをやり直して抜てきされた。18年にさくらさんが亡くなった際には、葬儀の弔辞で「ももこ先生がいなかったら、私、人生が変わってた」と、強い感謝を口にしていた。
苦楽をともにした「さくら家」からは悲しみの声が。お父さん役の屋良有作は「どんな状況の時にも番組の座長として、気丈で優しく、そしてしなやかに、私達を牽引して下さいましたね」と感謝をささげ、お母さん役の一龍斎貞友も「唯一無二の存在が旅立ってしまいました」と惜しんだ。まる子の親友・たまちゃんを演じ、公私ともに親交の深かった渡辺菜生子は「共有した大切な時間は、私の中で、今でもきらきら輝いています」と、思い出に浸った。
さくらももこさんのさくらプロダクションも、公式Xにメッセージを掲載。「ぐうたらでおっちょこちょい、粋を好み、家族やお友達が大好きな『動くまる子』を、その豊かな表現で作り上げて下さいました」と、感謝しつつ故人を悼んだ。
一度聞いたら忘れない、独特な声と語り口で、お茶の間を楽しませてきたTARAKOさん。人々の記憶にその声を刻み、静かに旅立った。
◆TARAKO(たらこ)1960年12月17日生まれ。群馬県出身、81年、アニメ「うる星やつら」の幼稚園役でデビュー。主な出演作に「まじかる☆タルるートくん」のタルるート役、「みかん絵日記」のみかん役など。情報、バラエティ番組のナレーションも数多く務めた。演劇集団「WAKU」を主宰し、脚本、演出も手がけた。83年にはシンガーソングライターとしてデビュー。趣味は詩作、空を見ること。