トケマッチ事件、持ち出した時計を海外で処分か?ドバイ在留の元代表逮捕は?元刑事が解説

 高級腕時計のシェアリングサービス「トケマッチ」を巡り、所有者から預かったロレックスを売却したとして、警視庁捜査2課に業務上横領容疑で指名手配された「合同会社ネオリバース」(大阪市)元代表の小湊敬済こと福原敬済容疑者(42)が、出国先のアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで在留許可を取得していたことが報じられた。元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は10日、デイリースポーツの取材に対し、事件の経緯や今後の見通しなどを解説した。

 「トケマッチ」はホームページ上で今年1月に「諸般の事情」を理由に解散を発表。福原容疑者は同時期に成田空港から海外に出国し、その後、ドバイに滞在していた。

 解散発表の際、腕時計は半年を目安に返却すると説明しており、同課では事件発覚を遅らせる狙いがあった可能性もあるとみている。また、返却されていない時計は元代表に加え、別人物の名義でも売却されていたことも分かった。警視庁捜査2課は協力者がいた可能性があるとみている。

 小川氏は「指名手配を打ったと同時に海外に出国したことが分かった時点で、国際手配(青手配)の準備をしているはず」という。「青手配」とは国際情報照会手配書のこと。手配された者の所在発見や手配された者の犯罪経歴等に関する情報を求めるものだ。

 同氏は「青手配によってその国に滞在しているのか、その国からまた第3国に出国したかなどが情報として入ってきます。また、青手配をしたら、出国した国のどこのホテルかなどもある程度、ICPO(国際刑事警察機構)を通じて捜査できるようになっている」と補足した。

 これまでの経緯について、小川氏は「昨年暮れから預託量の金額が上がったり、キャンペーンを打っていて、今、考えると、昨年末から動きがおかしかった。そのあたりから計画をしていたということは明白」と指摘。さらに「帰ってこない時計は約900点以上あると言われています。出国前に、代表本人だけでなく、腕時計を売却処分した共犯者の存在もあり得る。ただ、実際に被害届が出ているのは13都道府県で44件。ということは、何百点もの腕時計を全て日本国内で転売したとは考えにくいので、本人または共犯者が海外に出国の際に持ち出し、海外でも処分している可能性がある。今は約900点もあり、どんどん増えています」と解説した。

 そのような海外での転売によって容疑者の足取りはつかめないのか。

 小川氏は「日本国内での盗品手配は海外には及んでいないため。海外では通常ルートで転売することができます。その中で、1つ何億円もする時計があったとした場合でも、ICPOの国際手配の中でも盗品手配というものがあるのですが、だいたいは絵画などの場合が多く、腕時計では余り聞かないので、海外で発見されることはかなり困難では」と説明した。

 今後について、小川氏は「容疑者を即逮捕できないまでも、まずは任意同行し、所持品を抑える可能性はある。日本で逮捕状が出ている者は入国できないとか、滞在してはいけないという法律がある国では不法滞在ということで即逮捕できる。そのような法律がない国でも、ノービザで入っている場合は1カ月間などの滞在期間が終わった時点で不法滞在で逮捕し、日本に強制送還、航空機内で逮捕…という流れになる」と解説した。

 その上で、同氏は「福原容疑者の場合は、事前に在留資格を取得していたとの情報もあり、簡単に不法滞在にはならない。昨年、ドバイでは同様のケースがあったが、日本の捜査員が直接現地に赴き、直接、ドバイの司法側と捜査協力する方法がある」と予想した。

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