「ゴジラ」アジア初の「視覚効果賞」 低予算逆手に古典的トリックとCGを融合 山崎貴監督「お金あれば考えることをやめてしまう」

 映画界最大の祭典「第96回アカデミー賞」の授賞式が10日(日本時間11日)、米ロサンゼルスで開催され、日本映画が2部門を受賞する快挙を達成した。山崎貴監督の「ゴジラ-1.0」がアジア映画で初めて視覚効果賞を戴冠。宮崎駿監督は「君たちはどう生きるか」で長編アニメ賞を制し、21年ぶり2度目の歓喜に沸いた。作品賞の「オッペンハイマー」は最多7部門を受賞し、今年の顔に。役所広司主演で国際長編映画賞にノミネートされた「PERFECT DAYS」は受賞を逃した。

 プレゼンターのアーノルド・シュワルツェネッガーが「ゴジラ!」と読み上げると、祝福の拍手が降り注いだ。両手でガッツポーズした山崎監督をはじめ、映像制作会社「白組」メンバーらはゴジラのテーマ曲が鳴り響く中でステージへと向かい、その背中に会場から「ゴジラ~!」と歓声が送られた。

 アジア映画として初の視覚効果賞受賞。監督がVFX(視覚効果)を兼ね、同賞に輝くのは「2001年宇宙の旅」のスタンリー・キューブリック以来、55年ぶり史上2人目の金字塔となった。

 VFXを作り上げた受賞者4人の代表としてスピーチした山崎監督は、震えながら手紙を開き「ノミネートの瞬間、私たちはまさにロッキー・バルボアでした。強大なライバルたちの前でリングに立たせてもらえた事はすでに奇跡でした。しかし私たちは今ここにいます」と映画「ロッキー」を引き合いに心境を表現。世界のVFXアーティストに向け「みんな!ハリウッドが君たちにも挑戦権がある事を証明してくれたよ!」と喜びを爆発させた。

 授賞式前のレッドカーペットから話題を集めていた。タキシードなどで正装した4人は、かかとにゴジラのかぎ爪を着けた特殊なシューズで登場。ゴジラフィギュアを持つのが恒例だった山崎監督は“相棒”も特別仕様で、金色のゴジラに蝶ネクタイを着けて同じゴールデンのオスカー像を引き寄せた。

 ハリウッドに予算で敵わない分はアイデア勝負。大がかりなセットは組めないだけに、古典的なトリック撮影をCGと融合し、迫力の映像を作り上げた。岸田一晃プロデューサーによると、山崎監督は「お金があればあるほど考えることをやめてしまう。制約の中で、どうすればいいか考えるときに面白い方法やカットが生まれる」と問題意識を持っていたという。

 過去には「スター・ウォーズ」(77年)や「ジュラシック・パーク」(93年)など映画技術の転換点となる作品が受賞してきた視覚効果賞。今年のライバルたちは製作費436億円の「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」を筆頭に超大作がひしめいていたが、何十分の1の予算で破壊の神をスクリーンに顕現させたジャパニーズゴジラが世界を制した。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

芸能最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(芸能)

    話題の写真ランキング

    デイリーおすすめアイテム

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス