将棋のＮＨＫ杯テレビ将棋トーナメント決勝戦が１７日、ＮＨＫ・Ｅテレで放送され、藤井聡太八冠は佐々木勇気八段に敗れ、準優勝に終わった。この結果、藤井八冠は今年度の勝率で、歴代最高記録を更新する可能性が消滅した。

　藤井八冠はこの日、第４９期棋王戦五番勝負第４局で挑戦者の伊藤匠七段と対戦。もしＮＨＫ杯で優勝した上で同局を制して防衛に成功すれば、４７勝７敗、勝率・８７０の成績で今年度を終了し、中原誠十六世名人が１９６７年度にマークした・８５５（４７勝８敗）の歴代最高記録を更新していた。

　だが、ＮＨＫ杯決勝で敗れたことで、１６日時点での成績は４５勝８敗に。今年度は棋王戦五番勝負しか対局は残っていないため、この日の対局で勝利しても４６勝８敗となり、中原十六世名人の記録には届かないことが確定した。

　記録保持者の中原十六世名人は昨年１０月、藤井八冠誕生の際にデイリースポーツの取材に対応。勝率記録について「更新してほしい気持ち、残ってほしい気持ち、半々ですね」としつつ、「全冠保持者で強豪としか戦わない藤井さんが塗り替えたら、とてつもないこと」と話していた。

　藤井八冠にとって佐々木八段は、デビューから２９連勝の新記録を達成した後、２０１７年７月２日の竜王戦挑戦者決定トーナメントで対戦して敗れ、３０連勝を阻まれた相手。その後は昨年のＮＨＫ杯決勝を含めて４連勝していたが、再び記録更新を阻まれる結果となった。