名バイプレーヤー・寺田農さん死去 心に刺さった「ラピュタ」ムスカ大佐の声 芸能界指折りのサッカー通で川淵氏も追悼
俳優の寺田農(てらだ・みのり)さんが14日未明、肺がんのため死去したことが23日、分かった。81歳。東京都出身。所属事務所が公式サイトで明らかにした。葬儀は近親者のみでの家族葬で執り行われたという。テレビドラマや映画などで活躍。宮﨑駿監督のアニメ映画「天空の城ラピュタ」ではムスカ大佐役を務め、人気を博したバイプレーヤーが静かに旅立った。
ムスカ大佐の声で幅広い世代から親しまれた名バイプレーヤーが、人生の幕を閉じた。
所属事務所によると、寺田さんは肺がんを患っていたという。昨年も複数のドラマに出演するなど、精力的に活動。公式サイトで「最後まで仕事を続けながら、諦めることなく希望を持って、治療に励んでまいりましたが、桜の開花を待たずして帰らぬ人となりました」と報告した。
1961年、文学座付属演劇研究所に第1期生として入り、68年の主演映画「肉弾」で毎日映画コンクール男優主演賞を受賞。活動は幅広く、「仮面ライダーW」の園咲琉兵衛役や「ウルトラマンブレーザー」のドバシユウ役などに特撮ドラマに多く出演。86年には「天空の城ラピュタ」でムスカ大佐役を担当。その声が多くの人に刺さり、自身の代表作となった。
私生活では1970年に元女優の高橋紀子さんと結婚し、長女をもうけたが06年に離婚。その後、68歳時の2011年に当時30歳代の一般女性と再婚した。また、芸能界でも指折りのサッカー通としても知られた。明石家さんまや漫画家の望月三起也氏が発起人となって1980年代に結成された芸能人サッカーチーム「ザ・ミイラ」にも参加し、活躍。J2のジェフユナイテッド市原・千葉の熱烈なファンでもあった。
親交があったJリーグ初代チェアマンの川淵三郎氏はX(旧ツイッター)で「Jリーグができる前から親しくお付き合いしていました。サッカーをしたり食事をしたり農さんの舞台を見に行ったり、独特の綺麗な字で激励のお手紙を何度もいただきました。ご冥福を心からお祈り申し上げます」と追悼。千葉も「クラブの将来を思い愛情あふれた貴重なお言葉を頂戴いたしました」などと感謝と追悼のメッセージを発表した。
バイプレーヤーとしての活躍が目立ったが、21年公開の映画「信虎」では36年ぶりに主演。19年の同作撮影時には喜寿を迎えており「長生きはしてみるもんだなと。大変うれしかった」と喜んでいた寺田さん。多くの人に愛され、この世に別れを告げた。