「ヘアアイロンで1カ月残るやけど」 宝塚歌劇団が認めたパワハラ14項目 女性劇団員急死で遺族と合意
宝塚歌劇団を運営する阪急阪神ホールディングス(HD)は28日、豊中市内のホテルで緊急会見を行い、歌劇団の俳優女性(25)が昨年9月に急死した問題で、女性遺族との合意書が締結されたことを発表した。
劇団側はハラスメントについて、長時間の活動を余儀なくさせ過重な負担を生じさせ、劇団内にパワハラ行為があったこと、その行為によって心理的負荷を与えたこと、そして「全ての責任が劇団にある」と認めた。
劇団と女性遺族の間で合意したパワハラの内容要旨は以下の通り。
①2021年8月14日、宙組上級生が、女性が自分でやることを望んでいたにも関わらず、ヘアアイロンで女性の髪を巻こうとし、額に1カ月を超えてあとが残る火傷を負わせた。当該上級生は女性の気持ちをくんだ気遣い、謝罪を行わなかった。
②2021年7月20日の新人公演直前、2日連続で深夜に上級生の指示により、女性が髪飾りの作り直しを行った。
③2021年8月頃、上級生が女性に対し、人格否定のような言葉を使ってダメ出しが行われた。
④2023年2月3日、宙組幹部4人が女性を会議室に呼び出した。その後、同組全員の集まりを開いたことで、女性が過呼吸状態になるほど大きな精神的負担が生じた。
⑤宙組プロデューサーが④の会議室を確保し、精神的負担を受ける場を設定。女性が組替えを求めたことを無視した。
⑥2023年1月、劇団が①の事件について「全くの事実無根」との見解をホームページで発表した。
⑦女性が死去する直近の1カ月において、過大で長時間の業務を行わせた。
⑧2023年10月開催予定の新人公演に向けた準備において、「振り写し」が必須ではないにも関わらず、宙組幹部が女性に対して「振り写し」を行うよう指導した。
⑨同様に「お声がけ」も必須ではなかったが、宙組幹部が下級生に対してそのような指導をせず、女性に一層の過重な業務が課された。
⑩新人公演の演出担当者の怠慢により、女性が業務を肩代わりせざるを得なかった。
⑪2023年9月2日、新人公演の配役表に関し、宙組幹部が午後10時以降の深夜帯に女性を指導、叱責。午後11時50分になっても帰宅できなかった。
⑫2023年9月下旬、女性に落ち度がないにも関わらず、「振り写し」に関し、女性を指導、叱責したこと。
⑬2023年9月27日、下級生による衣装の取り扱いに関する衣装部門からの苦情に関し、女性に落ち度がないにもかかわらず、上級生が女性の責任だとし、指導、叱責した。
⑭2023年9月28日、または29日、宙組上級生Aが「お声がけ」に関して、女性に落ち度はなかったにも関わらず、大きな声で指導、叱責した。その後Aが同組上級生Bを呼び出し、女性について指導。Bが他にも上級生がいる中で被災者に嘘をついているかと、繰り返し詰問した。