「光る君へ」彩る芸人、いとをかし 意外な俳優が存在感!脚本家・大石静氏も筆が乗る!
女優・吉高由里子(35)が主演するNHK大河ドラマ「光る君へ」(総合、日曜、後8・00)を彩る意外な俳優たちが話題だ。平安中期の貴族の暮らしや心情が丁寧に描かれる今作では、貴族である藤原実資役のロバート・秋山竜次(45)、藤原斉信役のはんにゃ.・金田哲(38)に加え、主人公まひろ(紫式部)の従者役のカラテカ・矢部太郎(46)などお笑い芸人たちも存在感を放つ。作品に魅力を与える配役の意図とは-。制作統括の内田ゆきチーフプロデューサーに聞いた。
世界最古の長編小説といわれる「源氏物語」の作者・紫式部の生涯を描いた壮大なドラマの中で、意外な“ハマリ役”となっている芸人たちにも注目が集まっている。
初回の矢部を皮切りに、2話では秋山が、そして3話では金田が続々と登場。秋山と金田は、本作で大河デビューを果たした。不器用ながら懸命にまひろ(吉高)に仕える乙丸役の矢部をはじめ、それぞれが主人公や柄本佑(37)が演じる藤原道長との関係性も深い。なにより個性を出しながらも、違和感を抱かせることなく作品に溶け込んでいる様は、多くの視聴者を引きつけている。
制作統括の内田氏は、大阪放送局での勤務時代にお笑いを主戦場とする芸人と仕事をともにした経験から、芸人たちの魅力に触れる機会が多かったという。ドラマ制作の配役について「もちろん芝居、役者がメインという方も大切にしています」と前置きをした上で「(芸人が見せる)勘の良さというか。臨機応変に相手の方のお芝居を見て、ちょっと自分の芝居を変えてみたり。ショービジネス、人に楽しいものを見せる能力を持ってらっしゃる方が多い」と独特の“化学反応”の魅力を語る。
蔵人頭・藤原実資として内裏での政(まつりごと)に参加する秋山は、色黒の顔面も相まって画面上でのインパクトが抜群だ。一方で、権力争いに振り回される悲哀も演じ、内田氏は「藤原実資という人物の魅力というか、かわいらしさみたいなものを含めて出している」と話し「(脚本を担当する)大石(静)さんも筆が乗っていました」と舞台裏を明かした。
金田は平安貴族のエリートで、道長のライバルでもありながら青春時代を共にする斉信役。自身のSNSでは「皆様、初めまして。平安貴族の(藤原)F4です」と道長役の柄本、藤原公任役の町田啓太と藤原行成役の渡辺大知との4ショットを投稿して話題にもなった。内田氏は、自身も制作に携わった17年のNHKのドラマ「アシガール」での演技を見ていたことから、今作では「プレーボーイなところみたいなところをぜひやってもらえたら」と出演のオファーを出したという。
また、紫式部のライバル的存在、清少納言役にはファーストサマーウイカを抜てき。バラエティーをきっかけにブレークした印象のあるウイカだが、こちらも22年のNHK単発ドラマ「家出娘」での演技がきっかけで清少納言役の候補にあがった。さらには5話で一瞬だけ登場した「四角い顔」の侍従宰相役のザブングル加藤、絵師・三遊亭小遊三など登場回数は多くはないが、存在感を放つ人選の「適材適所」も光っている。
物語としては、青年時代を経たまひろや道長がそれぞれの道へと歩き出す局面で、紫式部が源氏物語を執筆するにはまだまだ時間がある段階。内田氏は今後に向けて「一体どんな人間関係になってくのかなと、楽しんでいただけるかなと思います」。芸人に限らず、柔軟な配役で華やかさと奥深さを増していく「光る君へ」の盛り上がりに期待がかかる。