藤井八冠 叡王戦第2局で敗れタイトル戦連勝は16でストップ 最多記録まであと「1」も届かず
将棋の藤井聡太叡王(名人、竜王、王位、王座、棋王、王将、棋聖との八冠)が、20日に石川県加賀市の「アパリゾート佳水郷」で指された第9期叡王戦五番勝負第2局で、挑戦者の伊藤匠七段に87手で敗れ、タイトル戦番勝負での連勝記録が16でストップ。故・大山康晴十五世名人が達成した歴代最多の17連勝を目前に無念の敗戦となり、記録更新はならなかった。
今局は伊藤七段の先手で始まり、戦型は両者が得意とする角換わりに。藤井叡王はこれまで起用してこなかった「3三金型早繰り銀」を選択し、昼食休憩前から駒がぶつかり合う激しい展開となった。
一時は藤井叡王が優勢とみられていたが、終盤を前にやや誤算があったのか、形勢は一気に伊藤七段優位に傾いた。これまで公式戦での対戦成績は11勝0敗1持将棋と圧倒してきた藤井叡王だが、この日は伊藤七段の粘り強い指し回しの前に屈した。
藤井叡王は局後、初めて採用した3三金型早繰り銀について「やったことがなかったので、やってみたらどうなのかなということは思っていました」としつつ、「かなり早く想定から外れてしまったので、ちょっと認識不足だったかなという気もしています」と反省を口にした。
さらに「もう少し工夫が必要だったかなという気がしています」「(守りの)薄さが出るような展開になってしまったので、失敗してしまっているかなと思っていました」「もう少し違う勝負手を掘り下げるべきだったかもしれません」と、一局を通じて後悔の言葉を連発。タイトル戦の連勝が16でストップしたことについては「仕方ないかなと思っています」と淡々と語り、今後へ向け「名人戦含めて対局が続くことになるので、いいコンディションで対局に臨めるようにしていきたいと思います」と前を向いた。