死去のキダ・タローさん「音楽家としてのモーツァルトはあまり好きやない」「私の好みはショパン」

 談笑するキダ・タローさん=2002年3月
 NHK「第16回わが心の大阪メロディー」にモーツァルト衣装で登場したキダ・タローさん=2016年
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 「浪花のモーツァルト」の異名を取った作曲家のキダ・タローさんが14日に死去していたことが15日、公式サイトで発表された。93歳だった。

 公式サイトでは、所属事務所の代表取締役を務める歌手・円広志名義で訃報を発表。葬儀、告別式は、故人の遺志により近親者のみで執り行った。

 「プロポーズ大作戦」や「かに道楽」など、作った曲の数はおよそ3000。ABC(朝日放送)の人気番組「探偵!ナイトスクープ」では最高顧問を務め、アイドルグループNMB48ともコラボするなど活動は多岐にわたった。

 関西では本物のモーツァルトより幅広い世代から親しまれたと言っても過言ではない作曲家が逝った。キダ氏は1930(昭和5)年、兵庫県宝塚市生まれ。関西学院中等部から高等部、大学へ進むもバンドなどの音楽活動が生活の中心となり、大学は中退となった。キダ氏は以前、この点についてデイリースポーツのインタビューに「たぶん除籍になったと思います。社会学部に入って入学金とか大金を納めなあきませんねん。おふくから預かって確かに大学に持って行ったんやけど」と詳細は不明であることを明かしていた。

 バンド活動をしながら独学で音楽を学び、20代後半でCMソングを手がけるようになった。「日清出前一丁」(1968年)、「アサヒペン」(年代不明)、テレビ番組「ラブアタック」(1975年)のテーマなどを作曲。数は3000にもなる。しかし、詳細なデータは残っておらず、キダ氏は「こんな性格ですから資料を保存しなかったんです。楽譜もスタジオに置きっ放しにしていた」と悔やんでいた。

 「浪花のモーツァルト」と呼ばれることについてキダ氏は「音楽家としてのモーツァルトはあまり好きやない。はっきり言って嫌いです。私の好みはショパン。あの人の音楽はどこをとっても全部美しい」とショパンを絶賛していた。

 愛称を付けたのは「探偵!ナイトスクープ」のプロデューサーを務めたABCの松本修氏。松本氏自身がモーツァルトを好きだった。

 キダ氏はやり残した仕事にNHK大河ドラマのテーマ音楽の作曲に加え、俳優として出演することもあげていた。それはかなわなかった。

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