よねさん素顔はゲラだった! 朝ドラ「虎に翼」男装姿で圧倒的存在感 上京直後は「『全員みてろよ!』斜に構えていた」
日本初の女性弁護士・三淵嘉子さんをモデルに、昭和の法曹界を描くNHK連続テレビ小説「虎に翼」(総合、月~土曜、前8・00)が好調だ。前半のMVPとも言える存在感を見せているのが、ヒロインの同期で弁護士を目指す男装の山田よね。演じる女優の土居志央梨(31)が、大きな注目を集めている。真っすぐで、不器用で、愛らしい「よねさん」の素顔はどんな人物なのか-。本人を直撃した。
朝ドラの後枠で放送されるNHKの情報番組「あさイチ」への生出演を終えて取材部屋に現れた土居は「緊張しました~。役でなく『土居志央梨』として出たのは初めてです。新しい扉が開きました」と、少し大げさに表情を崩した。同番組では終始笑顔。「虎に翼」での鋭利な顔つきを知る視聴者たちは、SNS上で「よねさんが笑った!」と歓喜し、ギャップに声を弾ませた。
ニコニコ、ふわふわ、“陽性”の人だ。「普段はゲラで、すぐに笑っちゃう。『虎に翼』が始まって、オフショットが公開されると『よねさんが笑ってる!』みたいに反応していただいて、ラッキーな役だったなって思います。ありがたいです。なかなかこんな役には巡り合えないから」。役のために30センチカットした髪を時に手遊びしながら実感を込めた。
登場するやいなや注目の的となった。ヒロイン・寅子(伊藤沙莉)の大学女子部同期。男装姿で異彩を放ち、口を開けば「どいつもこいつも生ぬるい!」と度肝を抜いた。168センチの長身も相まって、オーラは圧倒的。3週目に過去が明かされると険のある人物像の理由が判明し、屈指の愛されキャラとなった。
「誤解を生みやすい役でもあると思うので、放送が始まるまではとても不安でした。これでもし嫌われちゃったら…私が嫌われる分にはいいんですけど、よねの魅力がちゃんと伝わらなかったらどうしようとすごく不安でした。だから、放送が始まって、すごく大きな反響をいただいたのはびっくりしましたし、うれしかったです」
子供の頃はバレリーナになる…はずだった。3歳からクラシック・バレエを始め、18歳までの15年間、多い時には週6回、1日6時間の練習を続けてきた。四天王寺高校時代は、スポーツ・芸術クラスに所属し、元卓球日本代表の石川佳純らと同じ授業を受けていた。
「本当に家、学校、バレエのトライアングルの中でしか生きてなかったです。ちょっとした燃え尽き症候群みたいなところがあって、普通のキャンパスライフを送ってみたいけど、バレエばかりだったので勉強はできない。どうしたら大学に行けるんだろうと考えた時、お芝居だったらバレエと近しいものがあるかもしれないと思いました」
京都芸術大学のオープンキャンパスで映画学科のワークショップに誘われ、即興演劇をやることに。一瞬で演技の魅力にハマった。新しい世界に飛び込むことを決め「先生はびっくりしていましたけど、私が燃え尽きている感じは親も感づいていたみたいで、意外と応援してくれましたね。目が死んでいたんじゃないかな」。当時を回想し、苦笑した。
卒業後に上京。心には「よね」がいた。「上京したての時期は一番煮えたぎっていて、本当に『全員みてろよ!』みたいな気持ちでした。斜に構えていたかもしれない。その斜に構えている部分がどこかよねと似通っていて、過去の自分を思い出しながら演じているところがあるかもしれないです。ちょっと俯瞰で、ちょっと親心がある感覚で『かわいいな~、頑張れ~』みたいに背中を押したくなる感じを思いながら演じてます」。
劇中では、弁護士を辞める寅子と口論の末、たもとを分かった。物語が戦争へと突入する中、今後のよねがどのような人生を歩んでいくのか注目だ。
◆土居志央梨(どい・しおり)1992年7月23日生まれ。福岡県出身。京都芸術大学の映画学科俳優コースで、仲間たちと月1回の舞台を経験。在学中にドラマ「水戸黄門」、映画「彌勒 MIROKU」などに出演を果たす。主な出演作は映画「リバーズ・エッジ」、ドラマ「おちょやん」「青天を衝け」など。所属するファザーズコーポレーションの先輩には蛭子能収、小日向文世らがいる。