小室哲哉が衝撃 女性シンガーの才能と出会い「時代は確実に変わる」と確信 6月から全国オーケストラツアーを開始

 柔らかな表情で語る小室哲哉
 身ぶり手ぶりを交えて語る小室哲哉
 インタビューに応じる小室哲哉
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 音楽プロデューサーの小室哲哉(65)が6月29日の愛知公演を皮切りに、第2弾となるオーケストラコンサートツアー「billboard classics ELECTRO produced by Tetsuya Komuro」をスタートさせる。東京や福岡など全国5都市を巡るツアー。1984年にロックユニット・TM NETWORKでデビューし、今年で40周年。プロデューサーとしても数々の名曲を生みだし、日本の音楽シーンをけん引し続けるヒットメーカーが自らの足跡を振り返りながら、新たな挑戦への思いを明かした。

 オーケストラコンサートは、壮大かつ重厚なクラシックスタイルで小室サウンドをダイレクトで観客に届ける。「ヨーロッパではダンスミュージックとオーケストラの楽団がコラボレーションする企画が各所で生まれていて、完全に一つのエンターテインメントとして成立している。『ああ、これは気持ちいいだろうな』っていうのはずっと感じていました」と、インスピレーションの引き金を明かした。

 この試みは、正確なリズムと調和を基本に、次々とヒット曲を生みだしてきた小室にとって驚きとともに新鮮に映ったという。

 「デビューからまさに40年ですけど、機械のメトロノーム、電子的なクリックに合わせるのが基本。人がタクトを振る4拍子と違って、機械が教えてくれる4拍子で40年間やってきましたから。オーケストラの人たちは完全に個人の集まりで。指揮者のもとに(曲の)4分間を合わせ、これだけの人数が音楽を奏でる。タクトの揺れや動きで合わせていく感覚にびっくりしました」

 これまでの自身の経験則とは正反対とも言える音楽へのアプローチと改めて向き合った。

 「(音の)『揺らぎ』が波のように遠い方からうねってくるんです。うまくいかないときは音楽にならないぐらい狂ってしまうんだろうなという危うさも感じましたが。自分は4分音符がこれだけあったら、どこに立てばいいのか。『マクロ』から『ミクロ』。広大な世界から、とても小さな世界を行ったり来たり」

 「揺らぎ」と「一体感」、「マクロ」と「ミクロ」。相反する二つの言葉をつなぎあわせることが今回のテーマになる。

 「どうやっても電子楽器だと、それだけの揺らぎを作ることは不可能で。ライブっていう意味での揺らぎや、うねり。今回は(オーケストラに)ちょっと、こちらに寄せていただいて。クリックとかを聴いてもらって、こちらがスタートするデータと一緒に共存してもらうというトライをしようとしてます」

 観客席を含めた全ての空間を念頭に置いてプロデュースを組み立てる。「50、60人の方が一瞬スマホも何もかも無視して、呼吸を合わせ、もしかしたら心拍数も同じで。コンサートが始まったら収束まで付き合う。この行為がスゴいですよね」と究極の一体感に思いを巡らせた。

 90年代を中心にプロデューサーとして数々の名曲を手がけてきた。18年に歌手引退した安室奈美恵さんの代表曲「CAN YOU CELEBRATE?」、お笑いコンビ・ダウンタウンの浜田雅功をプロデュースしたユニット「H Jungle with t」の「WOW WAR TONIGHT ~時には起こせよムーヴメント~」など、ダブルミリオンを連発。列挙すればキリがないほど次々とヒット曲を生みだし、当時の日本の音楽シーンを小室サウンド一色に染め上げた。

 「漫画の週刊連載をしているみたいな気分でしたね。毎週、締め切りがあって。扉の向こうで『途中まででいいから聴きたい』ってレコード会社の人が待っていて」と当時を回想。ハイペースでヒット曲を量産した背景を「自分でも説明しきれない、解読できない結果もあります。たまたま奇跡的に着地できたみたいなこともたくさんありますし」と控えめに明かし、その後、1人のアーティストの登場が衝撃的だったと述懐する。

 「宇多田ヒカルさんが98年に登場されて。時代は確実に変わるって思ったし、本当に変わりましたからね。それまで僕が持っていたレコードは簡単に塗り替えられましたから。一つの節目でしたよね」

 音楽シーンを30年周期で見ているという。「(宇多田デビューの98年から)次の30年は2028年ですか。(自身も)それまでは活動できるのかなと思っていますけど」と笑みを浮かべる。偉業の数々を常に謙虚に振り返るが、今年1月に歌手・西川貴教に楽曲提供したシングル「FREEDOM」がオリコン週間デジタルランキングで初登場1位を記録した。

 「90年代のときの売れてるんだなっていう実感と、今年の曲の売れたんだなって感じ方は全く違いますよね。数値だけじゃない、実際の言葉も入ってきますから。YouTubeもSNSもない時代でやってきた人間が今のそういうツール中心の業界で一番になれた。『まだ、やれる』という自信につながっています」

 今回のオーケストラコンサートは音楽家・小室のたどってきた足跡の集大成になる。「多岐にわたっていろんなことをやる音楽家は、どんどん減ってきちゃってるのかなと。やっぱりオリジナリティーがないわけにはいかなくて。そうでないと存在している意味がなくなる。懐かしいのもいいんだよねっていうのだけではダメで。今っぽいと思ってもらえることも大事。どちらも共存できなくては第一線でやっていけないと思っていますので」と新たな挑戦への思いを語った。

 今後の音楽制作については「僕はクラシックを学校教育として受けてないので、地道にマネをして覚えてきていて。いまだに教えてもらうことや知ることが多いんです。だから、まだ成長してるんだと思います」。音楽への飽くなき探究心こそ、走り続けている理由。音楽家としての向上心は、衰えることはない。

 小室は、宇都宮隆(66)、木根尚登(66)と結成したロックユニット・TM NETWORKで84年にデビュー。結成の理由について問うと「音楽とSFが大好きな3人で」と笑みを見せた。87年に小室作曲の「Get Wild」が大ヒットし、翌年にNHK紅白歌合戦に初出場。今年は40周年を記念した全国ツアーを完走しファンを歓喜させた。小室は「ずっと関係は変わらないです。どんどん出会った頃に戻っています。ただの友達、音楽仲間に」と、ともに駆け抜けてきた2人への思いを明かしていた。

 ◆小室哲哉(こむろ・てつや)1958年11月27日生まれ。東京都出身。音楽プロデューサー、作詞家、作曲家。小学生で電子オルガンの演奏を始め、早稲田大学在学中にプロミュージシャンに。84年にロックユニット・TM NETWORKでデビュー。プロデュースしたCD総売上数は1億7000万枚以上。TRF、globeらを輩出し、安室奈美恵さん、篠原涼子らに大ヒット曲を提供した。今年1月に西川貴教とのユニットでリリースした「FREEDOM」はオリコン週間デジタルシングルランキングで初登場1位を記録した。

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