日本テレビ「セクシー田中さん」問題で脚本家の不満告白を把握も対応せず 法的措置示唆され「止めるのは逆効果」と判断
日本テレビは31日、都内の同局で、昨年10月期に放送されたドラマ「セクシー田中さん」の原作者・芦原妃名子さんが今年1月に死去した問題に関する調査結果を発表。昨年12月に同作の脚本家・相沢友子氏が、第9、10話の芦原さんが脚本を書くに至った経緯をインスタグラムで公表して不満を示していたことを把握した上で、「投稿を止めるのは逆効果と判断」していたことが分かった。
同局は報告書で「本件原作者のネット投稿」とし、「*2023年12月24日、28日、本件脚本家がSNSに、本件原作者が9、10話の脚本を書くことになった経緯を投稿した」と記述。その上で「*日本テレビは、表現の自由に照らして個人アカウントの発信阻止は難しい上、本件脚本家がクレジット問題で法的措置の可能性を示していたため投稿を止めるのは逆効果と判断」とし、対応を取らなかったことを明らかにした。
相沢氏は12月24日にインスタグラムで「最後は脚本も書きたいという原作者たっての要望があり、過去に経験したことのない事態で困惑しましたが、残念ながら急きょ協力という形で携わることとなりました」、28日には「今回の出来事はドラマ制作の在り方、脚本家の存在意義について深く考えさせられるものでした。この苦い経験を次へ生かし、これからもがんばっていかねばと自分に言い聞かせています。どうか、以後、同じことが二度と繰り返されませんように」と、経緯をつづりつつ不満をにじませていた。
一方、芦原さんは1月26日にSNSで「ドラマ化するなら『必ず漫画に忠実に』。漫画に忠実でない場合はしっかりと加筆修正をさせていただく」「漫画が完結していない以上、ドラマなりの結末を設定しなければならないドラマオリジナルの終盤も、まだまだ未完の漫画のこれからに影響を及ぼさない様『原作者があらすじからセリフまで』用意する」などの経緯があったことを告白。2日後の28日に投稿を削除し「攻撃したかったわけじゃなくて。ごめんなさい。」としたのを最後に姿を消し、29日に死亡が確認された。
日本テレビは一連の経緯について「原作サイドは制作サイドに不信感を持ち、9、10話のドラマオリジナル部分については『創作』を入れないでほしいとして、本件脚本家の交代を強く要請した」と説明し、「本件脚本家の納得いく結果にならなかった」と総括。また、芦原さんの書き込みについては「本件脚本家2度目の投稿後、本件原作者も脚本執筆に至る経緯と気持ちをブログ等に表明した」と言及した。