佐藤弘道が診断された「脊髄梗塞」 症例が少ないことから有効な治療法が確立されていない【医師の見解】
タレントの佐藤弘道(55)が13日、脊髄梗塞の治療のため活動を一時休止することを所属事務所を通じて発表した。直筆の文書で「下半身まひとなり歩けなくなってしまいました。病名は『脊髄梗塞』です」と明かし、現在については緊急入院し、投薬とリハビリの日々を過ごしていることを報告した。佐藤は1993年からNHKの幼児向け番組「おかあさんといっしょ」の第10代目体操のお兄さんを務め“ひろみちお兄さん”として親しまれ近年は教育活動などにも尽力していた。「脊髄梗塞」について兵庫県芦屋市の松本クリニック・松本浩彦医師が解説する。
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「体操のお兄さん」として知られるタレントの佐藤弘道さんが「脊髄梗塞」と診断され、現在は歩けない状態だと発表されました。
脊髄はいわば脳の「尻尾」で、脳から背骨の中を通ってお尻の辺りまで続いています。背骨から左右に何対も枝分かれし、あらゆる臓器に脳からの命令を伝えます。脊髄梗塞はその脊髄に血液を供給する血管が詰まることで、脳梗塞の一種と解釈できますが、その頻度は低く、脳卒中の1~2%とされており、年間に数人程度です。
症状としては麻痺とその進行、膀胱直腸障害、自律神経障害などで、ひどいと歩くどころか立つこともできません。脊髄は大動脈から枝分かれした血管によって栄養を補給されていますが、多くの場合は脊髄の腹側と背中側に沿って走る血管のうち、腹側の太い血管がつまることで起こります。
症例が少ないことから、動脈硬化、動脈塞栓症、大動脈解離、ショックによる低血圧、血管炎から椎間板ヘルニアなど、原因もはっきりしていないのと同じ理由で、有効な治療法も確立されていません。
予後は早期の治療や初期の重症度によりますが、おおむね良好と言われています。比較的早期に改善する場合もありますが、佐藤さんの場合、今月2日に発症し、10日経ってもまだ歩けないということは、当分の間、リハビリや投薬などの治療が必要になると思われます。