将棋の藤井聡太叡王（２１＝竜王・名人・王位・王座・棋王・王将・棋聖との八冠）に伊藤匠七段（２１）が挑戦した第９期叡王戦５番勝負第５局が２０日、山梨県甲府市の「常磐ホテル」で指され、先手番の藤井叡王が伊藤七段に１５６手で敗れ、２勝３敗で防衛４連覇ならず失冠した。タイトル戦で初めてかど番に追い込まれ、八冠陥落の危機をしのげず七冠に後退。これまで出場した５番勝負や７番勝負でのタイトル連続獲得の歴代最多記録は２２連覇で止まった。伊藤新叡王は藤井七冠から初タイトルを奪取した。

　藤井七冠の師匠・杉本昌隆八段は本紙の取材に応じ「負けたことは残念ですけど、棋士人生はまだ長いですし、これからも大きな戦いが続きますからね」と愛弟子にエールを送った。

　この日は地元のテレビ番組に出演し、勝負を見守った。敗れて肩を落とす弟子を見て「今日の将棋は勝ちを逃してつらそうな顔をしていましたね。いい将棋をしてひっくり返されましたからね」と敗因を挙げた。

　勝った伊藤新叡王について聞かれると「序盤が持ち味ですけど、終盤の粘り強さもあって、改めて強い棋士だと思いました。ミスを的確に捉えていました」とたたえた。