水谷隼 パリ五輪「選手目線で思いや本音を伝えたい」 テレ東メインキャスター就任 張本智和にリーダー的役割期待
パリ五輪の開幕まで1週間。元卓球選手でタレント・水谷隼(35)がテレビ東京の「パリオリンピックメインキャスター」を務める。08年の北京大会から前回の東京大会まで4大会連続で出場し、東京大会では卓球混合ダブルスで金メダルを獲得。五輪という舞台を熟知した元卓球王者が、キャスターへの意気込みや今の卓球男女日本代表への期待を熱く語った。
東京五輪混合ダブルスで卓球史上初の金メダルを獲得してから3年。引退後初めて迎える五輪は、キャスターとして初日から最終日までパリを精力的に動き回る。報じられる側から報じる側に立場が変わって迎える大舞台に、水谷は強い決意を口にした。
「独特の空気間があるオリンピックで、戦いの裏側にある努力や心情、独特の雰囲気や緊張感、思いや、本音を選手目線で伝えられるようにしていきたいです」
パリは13年の世界選手権で訪れたが、当時は街並を楽しむ余裕がなかったという。「フランスと言えばワイン。郷土料理も食べてみたい」と仕事でも余暇でも、花の都を満喫する。
五輪で金、銀、銅の全てのメダルを獲得したレジェンドは、後輩たちの躍動を心待ちにしている。最大のライバル・中国について「卓球は国技で、(卓球人口)1億人の中の3人に選ばれた選手ですから、超えるのは昔も今も難しい」と警戒しつつも「一時的に超えるのは不可能ではない。可能性はあるので、それがオリンピックの決勝だったら最高だなと思います」とエールを送った。
東京五輪ではリーダー格としてチームをけん引。今大会で、そのリーダー的役割を期待するのが張本智和選手だ。「戸上(隼輔選手)と篠塚(大登選手)が初出場ということで、2人とも緊張、不安もあると思う」と気遣い、「オリンピック経験があるのは、男子では張本ただ一人」と、その経験が鍵を握ると見ている。女子代表の(張本)美和と初のきょうだい五輪という特別感がもたらす効果にも注目した。
ほかの競技で注目しているのがバドミントンだ。放送ではリオデジャネイロ五輪のダブルスで金メダルを獲得した高橋礼華さんとタッグを組み“金コンビキャスター”として盛り上げる。
「昔は卓球とバドミントン、どっちがメジャー競技?、みたいな、ライバル意識を持っていましたけど、今回は仲間になって、キャスターをするのは感慨深いですね」としみじみ。テレ東のバドミントン中継は8月1日の女子シングルス決勝トーナメント1回戦、混合ダブルス準決勝、5日の男女シングルス決勝、3位決定戦と注目カードが組まれている。
4年に一度の祭典は間もなく幕を開ける。「僕が思うテレ東の良さは自由な部分だと。型にはまらず、自分らしく自由に伝えていければいいんじゃないかなと思います」。局の空気感に乗っかり、生の興奮と感動を現地から全力で届ける。
◆水谷 隼(みずたに・じゅん)1989年6月9日生まれ。静岡県磐田市出身。5歳から卓球を始め、青森山田中から同高へ進学。全日本選手権では高校2年時の07年に最年少制覇を果たし、19年には前人未到の10度目の優勝を達成。五輪は08年から4大会連続で出場。リオデジャネイロ大会ではシングルスで日本勢初の銅メダルを獲得し、団体でも日本男子初の銀メダル。東京大会では伊藤美誠とペアを組み混合ダブルス金メダルを獲得した。