飲酒事故の嘉門タツオ 地元大阪で出直しライブ 後悔と反省の日々「原点回帰で再勉強中」

 シンガー・ソングライターの嘉門タツオ(65)が、飲酒運転事故による活動自粛後初となる大阪公演「嘉門タツオ“お世話になりました!umeda TRAD!!“」を7月26日に同ホールで行う。後悔と反省の日々を経て迎える出直しライブ。初心に戻り、新たな気持ちで得意のコミックソングを披露する。

   ◆     ◆

 地元の大阪。そしてシンガーとして育ててくれた「umeda TRAD」(旧AKASO・バナナホール)での再出発を前に、嘉門の口からまず出てきたのは謝罪と反省の言葉だった。

 「やってはいけないことをやってしまい、被害者の方をはじめ、ファンの皆様や関係者の皆様のご期待をも裏切ることになり、本当に申し訳なく思っています。今後、二度とこのようなことがないよう肝に銘じ、皆様に楽しんでもらえる唄を歌い続けていこうと思っています」

 神妙な口調に活動再開への覚悟がにじむ。当然だろう。この先の失策は絶対に許されないのだ。

 飲酒事故を起こしたのは昨年1月17日。自宅近くにある都内の飲食店で飲酒して帰宅する際、運転中に前方の乗用車に接触。この愚行によりすべてのスケジュールが消え、嘉門は自ら謹慎に入った。

 被害者から「“活動なさってください”とのありがたいお言葉をいただいた」という再開への配慮もあり、今年3月25日に宇崎竜童をゲストに招いて「嘉門タツオ 反省と叱咤の会」を東京で開催。1年2カ月ぶりにステージに立った。

 嘉門はいま、「原点回帰で再勉強中」と語る。後悔と反省の日々を送る中で古典芸能の文楽や歌舞伎の鑑賞、読書に時間を費やし、自らが歩んできた歴史も振り返って整理した。

 「時間を無駄にできないと思ってね。いろいろ整頓しているうちに僕の夢、目標として“嘉門タツオ記念館を創りたい”というところに行き着いたんです」

 すでに過去のアーティスト写真やアルバム、シングルのジャケットなどを時系列的に並べて自宅で額装し始めている。生まれ育った実家での家族写真も…。

 「普通は亡くなったあとに学芸員の人らが創るんでしょうけど、それを僕の主観で創ってこの世を去りたいと。もう、その展示場所まで確保しました」

 それは日本万国博覧会(70年大阪万博)のシンボル、太陽の塔の横顔が間近に見えるところにある。

 小学校の頃、各パビリオンのバッジ欲しさに茨木市内の自宅から自転車に乗り、何十回も通った万博。厳しい坂を上ると太陽の塔の左後方にたどり着く。わくわくしながら一目散に入場門へと走った。

 集めたバッジの数は64個。学校内で第3位。友人の「たかくら君」が101個で1位だった。遊びとはいえ、ちょっと悔しかった。

 その友人のバッジを記念館のメーンの展示物にしたいと考える。友人が亡くなる間際、「オレの記念館に飾ってやるからな」と約束したからだ。“101個バッジ”は「堺屋太一記念 東京芸術大学 美術愛住館」(東京・新宿)にも展示された貴重なコレクションでもある。

 「この時間の中で記念館の構想が浮かび、新しい唄の発想にもつながっていった」

 このほど、「鼻から牛乳」の新バージョン「令和篇」が完成し、レコーディングも完了。9月の配信リリースへ向けてミュージックビデオを作成していく。「常に現代を歌っていきたい」という独特の観察眼は曇ることがない。

 旧AKASO・バナナホール時代から嘉門を支えてきた「umeda TRAD」は今年の10月末をもって閉館となる。

 「僕を育ててくれた思い出深いところが40数年の歴史に幕を降ろす。こちらはリスタートとしての岐路に立っている。そう実感しています」

 今年がデビュー41周年、再出発の嘉門。その数字が表すような“よい”年になることを望んでいる。(デイリースポーツ/宮田匡二)

 ◆「嘉門タツオ“お世話になりました!umeda TRAD!!“」は7月26日(金)に大阪・umeda TRADで開催。18時開場、18時30分開演。前売り6000円。チケットはe+、ローソンチケット、チケットぴあ、楽天チケットで発売中。問い合わせはキョードーインフォメーションTEL0570-200-888。

 ※売り上げの一部は交通事故被害者のための基金に寄付される。

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