武田鉄矢「黄門様は老人の資格が必要」大役・水戸光圀に挑んだ日々 「水戸黄門」特別番組

 俳優・武田鉄矢(75)が、きょう11日に放送されるBS-TBS「放送55周年記念 あゝ人生に水戸黄門あり」(後7・00)に登場する。1969年にTBS系でスタートした「水戸黄門」の55周年を記念した特別番組。武田は2017年からのBS版で主人公の水戸光圀を演じ、19年のシリーズ第2弾でも引き続き主演した。伝統のたすきを受け取り、大役に挑んだ日々の心境を聞いた。

 名優たちが伝統を背負い、日本中に愛されてきた国民的時代劇の座長。膨大なキャリアを誇る武田をもってしても、務めるのは緊張を伴うものだったという。

 「女房が興味を持っていたんで撮影所に招待したんです。黄門様衣装の私をじーっと見ながら言うんです。『こうなるとは思わなかった』って」

 俳優としてブレークする前に、フォークグループ・海援隊を率いて「母に捧げるバラード」「贈る言葉」など数々のヒット曲を生みだしたが、妻との出会いは脚光を浴びる以前のことだ。

 「アマチュアで歌っていた時代に知り合った女性ですから。決して歌は上手じゃないけど、一生懸命に歌う感じがいいと思ったんでしょうね。しょうもない男に見えてたでしょうけど、同情してるうちに付き合って」

 俳優としての代表作は枚挙にいとまがない。長期シリーズとなった「3年B組金八先生」、社会現象にもなった「101回目のプロポーズ」。名優の肩書に異を唱える者はいないだろう。

 「日本で一番有名な中学教師になって。(「101回目-」で)トラックの前に飛び出したりもして。でも、そんな彼女にとっても黄門様は『まさか』だったんでしょうね」

 撮影には新鮮な気持ちで臨んだという。

 「印籠を取り出すでしょ?ははーって頭を下げた人が『いや、印籠の位置が違う。もう少し高め』って言うんです。エキストラで20年ぐらい殺されてきた方だから、よくご存じなんですよね。(主要キャストの)我々だけが新人なんです」

 新たな発見や驚きをともなった水戸光圀役を回想し「黄門様は老人の資格が必要なんですよね。登場人物の良い悪いは一目で分からないとダメ。(展開に)裏切りやビックリはいらないんですね」と骨格をひもとく。「物語の流れに『いない、いない、ばぁ』があると思っていて。いないの不安が2回続いて、お母さんが『ばぁ』で出てくる。人は不安が続いた後にやってくる安心に最も幸せを感じるらしいんです。その型を作るための先人の苦労がきちんとある作品ですよね」。

 次の御老公役で見てみたい俳優は?と問いかけると、平泉成(80)の名を挙げた。「疲れ切った黄門様だったら平泉さんがいいかも。黄門様は生臭さが残ってちゃダメ。難しいんですよ」。目を細めながら大役に挑んだ日々を振り返っていた。

 ◆武田鉄矢(たけだ・てつや)1949年4月11日生まれ。福岡市出身。72年に「海援隊」としてデビューして「母に捧げるバラード」が大ヒット。74年にはNHK紅白歌合戦に初出場。77年、映画初出演作「幸福の黄色いハンカチ」で日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞。「3年B組金八先生」シリーズなど、俳優としても数々の作品に出演。福岡教育大学を中退していたが、08年に「名誉学士」の称号を授与された。

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