西山朋佳白玲“豪腕”発揮 史上初女性プロ棋士へM2 中盤まで互角「幸運な面も」快挙前進も笑みなし
女性初の棋士を目指す将棋の西山朋佳白玲(29=女王、女流王将との三冠)が挑む、プロ棋士編入試験五番勝負第1局が10日、東京都渋谷区の将棋会館で指され、西山白玲が高橋佑二郎四段(25)に132手で勝利。女性として編入試験で初の勝利を挙げ、合格まであと2勝となった。第2局は10月2日に指され、山川泰煕四段と対戦する。試験は月1回、棋士番号の大きな順の5人を相手に行われ、3勝を挙げれば合格。女性の受験は2022年の福間香奈女流五冠に次いで2人目で、福間女流五冠は3連敗を喫していた。
異名通りの“豪腕”で若き俊英をねじ伏せ、快挙に一歩前進した。激戦を制した西山白玲は終局後、笑顔はなく落ち着いた表情で「本当にずっと気が抜けない、難しい将棋だったかなと思います。少しずつ苦しさは意識しながら、最後は幸運な面も大きかったかなと思います」と大きな1勝を振り返った。
対局相手の高橋四段は4月にプロ入りしたばかりで、ここまで10局を戦い6勝4敗。振り飛車党の西山白玲は振り駒で後手番となり、居飛車党の高橋四段に三間飛車で対抗。中盤までは互角のねじり合いが続いた。
早々と駒がぶつかり合い、互いの大駒を交換する激しい戦いの中、西山白玲は機敏な指し回しで徐々に優位に。力強い手でどんどん踏み込み、リードを拡大した。最終盤は再び混戦となる局面もあったが、高橋四段の反撃を冷静にしのぎ、幸先よく第1局を制した。
将棋のプロ棋士となるためには奨励会の三段リーグを突破して四段になるか、受験資格を満たして編入試験を受け、合格する必要がある。西山白玲は2010年に6級で関西奨励会に入会し、15年には女性として2人目の三段昇段を達成。20年の第66回三段リーグでは次点の成績を収めたが、四段昇段には一歩届かず21年3月に退会した。
その後は女流棋士となり、女流タイトルを計9期獲得。女流転向前と合わせ歴代4位の16期を誇る。直近の公式棋戦では昨年1月10日から今年7月4日までの20局で13勝7敗の成績を挙げ、編入試験受験条件(10勝以上かつ勝率6割5分以上)を満たした。
この日に向けては「自分のできることはやるつもりで過ごしていました」という西山白玲。今後も難敵が待ち受ける試練の道に「1局1局準備して、当日、全力を尽くすしかないと思います」と表情を引き締めた。