紀州ドン・ファン事件初公判、元妻の被告は無罪主張も、元刑事「決定的証拠がある可能性も」と指摘

 2018年、実業家の野崎幸助さんが不審死した和歌山県田辺市内の自宅(撮影・小川泰平)
 罪状認否に答える須藤早貴被告(イラストと構成・田村角)
2枚

 2018年に“紀州のドン・ファン”と称された和歌山県田辺市の資産家・野崎幸助さん=当時(77)=を殺害したとして、殺人罪などに問われた元妻・須藤早貴被告(28)の初公判が12日、和歌山地裁で開かれた。発生当初から事件を追ってきた元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏がデイリースポーツの取材に対し、今後の焦点などを解説した。

 捜査関係者によると、野崎さんは18年5月24日、自宅で倒れた状態で発見された。死因は急性覚醒剤中毒と判明したが、遺体に注射痕はなかった。物的証拠はなかったが、須藤被告のスマートフォン解析などを通した状況証拠の積み重ねにより、21年4月に逮捕・起訴された。

 起訴状によると、同被告は殺意を持って何らかの方法で野崎さんに致死量の覚醒剤を摂取させ、殺害したとしている。

 この日、裁判員裁判として行われた初公判で、須藤被告は「私は殺していないし、覚醒剤を摂取させたこともない」と無罪を主張。弁護人は「『怪しいからやっているに違いない』と思って結論が決まってしまうならば、この裁判をやる意味はない。間違いなく、起訴状に書かれた犯罪が行われたことが認められるかで判断されなければならない」と訴えた。

 一方、検察側は冒頭陳述で、同被告が18年4月に密売サイトから致死量の3倍を超える覚醒剤3グラム以上を注文し、その翌日には和歌山市内で密売サイト関係者に十数万円を支払って覚醒剤と思われるものを入手したとして、「周到に犯行を計画していた」と指摘。さらに、同被告による「完全犯罪」「覚醒剤 死亡」「殺す」「殺人罪 時効」などといったインターネットの検索履歴も状況証拠の一例として挙げた。

 小川氏は「今のところ、まだ表には出てきていないが、状況証拠だけでも有罪に持ち込めるだけの、何か(決定的な)ことがあるのではないかとも思っています」と推測した。

 また、検察側が28人の証人尋問を請求したことを受け、小川氏は「20人以上もの証人が裁判員裁判の法廷に立つことは異例。10人でも多いくらいです。現時点で表に出ている状況証拠1つ1つの支えになるような証人が出て来る可能性も考えられる」と見解を示した。

 さらに、同氏は「私が捜査関係者から聞いた情報では、須藤被告とスマートフォンの位置情報で同じ場所にいたとされている覚醒剤の密売人の男性が証人として出廷するという話がある。その証人が実際に出廷し、どのような話をするのかということも非常に大きなポイントになると思います」と指摘した。

 今回の初公判を含めた25回の審理を経て、11月18日に結審し、判決は12月12日に下される。

 今後の焦点について、小川氏は「30人近い証人の方々がどういった話をするのか。また、検察側はスマートフォンの検索履歴、位置情報、死亡時に被告が自宅にいたといった状況証拠以外に、何か決定的なこと、それが状況証拠であっても『より濃い』内容の状況証拠が出て来るのかも注目される」と付け加えた。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

芸能最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(芸能)

    話題の写真ランキング

    デイリーおすすめアイテム

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス