宝塚 星組新人公演 御剣海、堂々の初主演 涙の舞台挨拶でも大物ぶり

 宝塚歌劇星組「記憶にございません!」の新人公演が12日、兵庫・宝塚大劇場で行われた。主演は初舞台から7年目の御剣海(みつるぎ・かい)で、同期でヒロインの綾音美蘭(あやね・みらん)と共に、最終学年で真ん中の大役を得た。

 新人公演メンバーには難しい政界コメディだが、首相の黒田啓介役の御剣をはじめ、新人公演メンバーが果敢に挑み、レベルの高い舞台に仕上げた。本役のトップスター礼真琴は三拍子そろった実力派。だが御剣も、しっかりと食らいつき、開演アナウンスからしっかりとした男役の声で、間もよく笑いを誘った。また本番でも朗々とした歌声を響かせ、最終学年での主演のチャンスをしっかりとものにした。

 また井坂役の樹澄せいやは銀縁めがねがよく似合い、インテリ補佐官の雰囲気をよく出した。フリーライターの古郡役の大希颯は、前回主演しただけあり、舞台にも余裕があり、骨太な作りを見せた。

 鶴丸官房長官役の世晴あさ、小野田役の和波煌、鰐淵役の碧音斗和、秘書官の番塲役の茉莉那ふみらも好演。笑いを誘った。また恩師の柳役の稀惺かずとも声に年齢を感じさせていた。

 終演後は、ヒロインの黒田聡子役の綾音が“長の長”として、あいさつ。芝居同様、落ち着いた様子で「100回の稽古よりも舞台といいますが、あたたかい拍手、笑いでパワーをいただきました」と客席に礼を述べた。

 また御剣は涙声で「星組は2公演ぶりの大劇場。東京の新人公演とともに2回させていただけることは本当にありがたい」と感謝。さらに「明日からの本公演も…嘘をついてごめんなさい。明日は休演ですので、明後日からの本公演にも、この経験を生かしてまいります」と日にちの間違いにも、芝居のセリフをとっさに引用する大物ぶりに、客席からも大きな拍手を浴びていた。

 東京公演は10月31日。

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