女優・吉永小百合（７９）の夫で元テレビプロデューサーの岡田太郎さんが３日午前１時１５分、胆のうがんのため都内の病院で死去した。９４歳。東京都出身。吉永が発表した。葬儀は故人の遺志で８日に家族葬として執り行われた。葬儀の喪主を務めた吉永は直筆の追悼文を発表。最愛の夫との別れに「大往生だと思います」などとつづった。後日、お別れの会を予定している。

　吉永が、半世紀以上連れ添った最愛の夫を見送っていた。

　吉永によると、岡田さんは昨年１２月に胆のうがんと診断され、化学療法の治療を受けていたと説明。転移もあり、病状が進行して亡くなったという。吉永は地方での新作映画の仕事を終えて病院に駆けつけ、寄り添って看取ったといい「病気に対しては、回復をめざして常に前向きでしたが、９月３日、９４才で永眠いたしました」などとつづった。関係者によると、映画の撮影スケジュールに滞りはなかったという。

　岡田さんは文化放送を経て、５８年にフジテレビ入社。ディレクターとして頭角を現し、独特な演出法で「アップの太郎」と呼ばれた。吉永が主演した映画「愛と死をみつめて」のドキュメンタリー番組を手がけた縁で出会い、９年後に結婚。吉永は２５～２６歳の頃に過労によるストレスで声が出なくなり、当時献身的に支えたのが岡田さんだったという。７３年２月に交際が明らかになった際には「好きなんです。一緒に暮らしたい」と岡田さんへの深い愛情をのぞかせた。

　当時、吉永は２８歳。清純派女優の１５歳差婚は大きな話題を呼んだ。吉永の両親が結婚に反対する中、同年８月に挙式。岡田さんの勤めるフジテレビの取締役・千秋与四夫氏と歌手・畠山みどりさん夫妻の自宅で、女優・奈良岡朋子さんを保証人にゴールイン。その後、都内のホテルで行われた結婚パーティーには７００人が集まった。岡田さんは優しい人柄で知られ、２人は穏やかな結婚生活を送っていたといい、吉永が出演する映画の撮影現場にもたびたび姿を見せ、見守っていたという。

　結婚後も岡田さんは仕事にまい進し、フジテレビの編成局次長、関連会社・共同テレビジョンの社長、会長を歴任した。映像に携わり続けた人生。吉永は約５０年にわたり手を取り合ってきた夫の最期を「大往生だと思います」とし「生前の皆様のご厚情に深く感謝し、心からの御礼を申し上げます」と感謝の思いをつづった。

　◆フジテレビ「岡田氏は、創成期のテレビ界のドラマ制作に尽力され、『日日の背信』など数々の名作ドラマを生み出し、編成面でも大いに活躍されました。その後、共同テレビでヒットドラマ制作の指揮をとり、社長・会長としても社業の発展に尽力されました。生前のご厚誼を深く感謝し、ご冥福をお祈りいたします」