ドラマ「SHOGUN 将軍」エミー賞18冠の快挙 主演男優賞・真田広之は万感「受け継いだ情熱と夢は国境を越えました」

 米テレビ界最高の栄誉とされる「第76回エミー賞」の授賞式が15日(日本時間16日)、ロサンゼルスで開かれ、日本の戦国時代を舞台にした歴史ドラマ「SHOGUN 将軍」で俳優・真田広之(63)が主演男優賞を獲得した。真田は「あなた方から受け継いだ情熱と夢は海を渡り、国境を超えた」と日本の時代劇関係者らに感謝した。同作はアンナ・サワイ(32)の主演女優賞のほかにも作品賞、監督賞など18冠を達成。壇上で浅野忠信(50)、平岳大(50)、西岡徳馬(77)ら共演者も笑顔だった。

 俳優として、プロデューサーとしても快挙を達成した。

 作品賞が「SHOGUN」と読み上げられると、真田は席から立ち上がり周囲に小さく礼をした。壇上でスピーチを促されると英語で「日本語で話をさせてください」と前置き。「これまで時代劇を継承して支えてきてくださった全ての方々、そして監督や諸先生方に心より御礼申し上げます。あなた方から受け継いだ情熱と夢は海を渡り国境を越えました」と感無量の表情を見せた。

 1999年から2000年にかけて上演された英ロイヤル・シェークスピア・カンパニーの舞台「リア王」に唯一の日本人キャストとして参加。03年には映画「ラストサムライ」でハリウッドに進出した。その後米国に活動拠点を移し、約20年が経過。映画「ラッシュアワー3」「アベンジャーズ エンドゲーム」、ドラマ「LOST」完結編など、第一線で活躍する一方、自身が出演する作品では不自然な日本の描写を正すなど、積極的に意見を言うようになった。出演者としてだけでなく、次第にプロデュース業務にも進出するようになった。

 プロデューサーとしても名を連ねる作品での受賞は、日本の俳優として培ってきた経験とハリウッドでの20年が合わさって結実したものだ。徳川家康がモデルの武将・吉井虎永を演じて獲得した主演男優賞のスピーチでは「この作品は西と東が出会う夢のプロジェクトでした。奇跡を作ることができました。わたしたちは共により良い未来を作ることができます」と作品と自身を重ねるように語った。

 海を越えた思いは世界に伝わり、「SHOGUN」は作品賞、監督賞も含む18冠を達成。助演男優賞にノミネートされていた浅野、平は受賞を逃したものの、テレビ番組の単一シーズンの受賞数としては歴代最多を記録した。受賞後の会見で、真田はエミー像を手に「今までやってきたことの結果としてトロフィーを頂けたことは本当にうれしい」と語った。

 「SHOGUN」はジェームズ・クラベルのベストセラー小説が原作。同じ原作で、故・三船敏郎さんが虎永を演じた1980年の同名のドラマは一大ブームを巻き起こした。三船さんも主演男優賞の候補となったが、受賞はならず。脈々と続く思いを真田が輝かせた。

 ◇真田広之(さなだ・ひろゆき)1960年10月12日生まれ。東京都出身。子役でスタートし、千葉真一さん主宰のジャパンアクションクラブに入団。映画「柳生一族の陰謀」(78年)で本格デビューした。「里見八犬伝」(83年)、「麻雀放浪記」(84年)、「たそがれ清兵衛」(02年)、NHK大河ドラマ「太平記」(91年)、「高校教師」(93年)などに出演。ハリウッドに進出し「ラストサムライ」(03年)でも侍役を演じた。

 ◆エミー賞 米テレビ芸術科学アカデミーが主催し、配信を含むテレビ分野のうち、ドラマやバラエティー番組などでの優れた業績をたたえる賞。1949年に第1回授賞式が開かれた。アカデミー賞(映画)、グラミー賞(音楽)、トニー賞(演劇)と並ぶエンターテインメント界の最高峰の1つとされる。

 ◆「SHOGUN 将軍」 「関ケ原の戦い」をベースに、五大老の1人・石堂和成(平)と対立する武将・吉井虎永(真田)が、野望と策略を巡らせる物語。ほぼ全編日本語で字幕を多用した。虎永のモデルは徳川家康。伊豆に漂着し、虎永の家臣になる英国人航海士・按針(コズモ・ジャーヴィス)の視点を通じて武家社会の風習も描かれる。

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