西山朋佳女流三冠 女性初プロ棋士へ試練 山川泰熙四段に敗れ1勝1敗に
将棋の「プロ棋士編入試験五番勝負」の第2局が2日、東京都渋谷区の将棋会館で指され、女性初の棋士を目指す将棋の西山朋佳女流三冠(29=白玲、女王、女流王将の三冠)が山川泰熙四段(26)に104手で敗れた。1勝1敗で偉業に王手とならず、足踏みとなった。プロ棋士編入には残り3戦中2勝が必要。第3局は11月に予定され、上野裕寿四段(21)と対戦する。
悔しそうに盤上を見つめた。中盤以降はリードを許し、覆すことはできなかった。「経験のある形だったが、少しずつ苦しい状況だなと思っていました」。連勝を逃した対局後に短い言葉で総括し、敗戦を受け止めた。
体調も万全ではなかったのかもしれない。9月10日の第1局では高橋佑二郎四段(25)と対戦し勝利したが、同27日に新型コロナウイルスに感染したことを発表。同28日に予定されていた女流タイトル戦のヒューリック杯第4期白玲戦七番勝負第4局を延期していた。
この日もせき込み、ハンカチで口を覆う姿が見られた。西山女流三冠は「自分の体調管理の至らなさで、たくさんの方に迷惑をかけてしまったので申し訳ないなと思います」と謝罪の言葉を口にし、「体調が悪い中でもできる限りのことはしようと思いました」と改めて大一番に全力で臨んだことを強調。4月にプロ入りした新人の山川四段の手堅い戦法に対して、西山女流三冠らしく強気に踏み込む戦いは見せた。
試験は月1回、棋士番号の大きな順の5人を相手に行われ、3勝を挙げれば合格。女性の受験は22年の福間香奈女流五冠に次いで2人目となっている。西山女流三冠は第3局を上野四段と行う予定。「次は公式戦でも活躍されている上野さんで、自分のその時の棋力が出せるように持っていきたい」と力を込めた。