奈緒 デビュー11年、30歳目前に思う「今すごく幸せ」結婚は「その先に」 ドラマ「あのクズを殴ってやりたいんだ」主演

 女優・奈緒(29)主演のTBS系ドラマ「あのクズを殴ってやりたいんだ」(火曜、後10・00)が8日にスタートする。今作では結婚式当日に彼氏に逃げられたことをきっかけにプロボクサーを目指す主人公・佐藤ほこ美を熱演。節目の30歳を目前に「結婚」という言葉に「向き合った時間もたくさんあった」という29歳。今をときめく演技派女優の結婚観や「幸せ」の中身を聞いた。

 記者の質問に耳を傾け、時折見せる笑顔の一方で、放つ言葉には確かな芯と力強さを感じた。

 企画の前編では、クランクインの2カ月前から練習を始め、撮影の合間や隙間時間も汗を流すなどして、本格的にボクシングに取り組む奈緒の姿に密着した。率直になぜそこまでストイックに打ち込めているかを聞くと「役作りではあるのかもしれないけど、個人的には皆でせっかく一緒に何かを作るときに、まずは作ってる人たちが幸せであることが、私は目指すべきところなんじゃないかなと思っている」と即答した。

 作品の「質」を上げるためなら、妥協はしない。「私はとにかく一生懸命やるしかないと思っていたので自分にできることがただそれだけかなと思ってました」。やるべきことを認識し、行動に移す信念を持っている。

 ラブコメとして描かれる今作。撮影中にときめくことがあるのかと聞くと「えーありますよ!」と笑った。「私生活で起きないぐらいのことがドラマで起きるのですごくキュンキュンするし、純粋にやっぱり誰かを好きになるっていいなって、絵の中に生きてる人たちがうらやましく感じます」と穏やかに語った。

 演じるほこ美は奈緒と同い年の29歳で、結婚式当日に彼氏に逃げられてしまう役どころ。奈緒自身は結婚を「人生の選択肢の一つにはもちろんありますね」とうなずく。現時点で結婚願望はないと語るが、過去には考えることもあったという。

 「やっぱり友達とか同年代が結婚っていう選択をしたり家族ができた子もいるし、どうしても年齢的に向き合うタイミングが訪れたなって思って。20代の後半は『結婚』っていう言葉とたくさん向き合った時間もあったけど、そういう時間を経て今はいったんちょっと置いておこうかなって」

 その理由を聞くと「今すごく幸せなんですよ。私」とほほえみ「私生活と仕事を分けていない」という意識を明かした。「あくまで自分の人生の中に仕事があるから、そこで出会った人もあまり『お仕事だ』って割り切らず、出会えてよかったなって思うし、一緒に遊びに行ったりすることもある。ありがたいことにお友達もいるし、家族もいる。結構幸せなんですよね」。そう語る表情も満ち足りた笑顔だった。

 仕事そのものが自分の「幸せ」にもつながっている現在地。「なので1度今の自分の幸せを疑わずに生きてみて、その先に結婚っていうすてきな出会いや選択肢があったら、その時は心から『結婚願望あります』って言えるのかもしれないなって思います」とまとめた。

 女優デビューから11年。記者がそう告げると「うわ、長」と苦笑。一方で女優としての年輪を重ねても、芝居への向き合い方は変わらないという。「もちろんやってて楽で楽しいことばっかりではないけれど、ずっとお芝居が好きですし、お芝居が好きな、始めた時の自分のままでいたいなってずっと思ってる」。このドラマもまた、奈緒の「幸せ」のピースとなるのだろう。

 ◆奈緒(なお)1995年2月10日生まれ。福岡県出身。高校1年生の時にスカウトを受け、地元・福岡で芸能活動をスタート。2013年、ドラマ「めんたいぴりり」で女優デビュー。16年の「雨女」で映画デビュー。他にNHK連続テレビ小説「半分、青い。」やドラマ「あなたの番です」、「春になったら」、映画「先生の白い嘘」など話題作に多数出演。趣味は見た映画のイラストを描くこと、カレー屋巡り。特技は手話、乗馬、着付け。157センチ。血液型A。

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