元漫才師の“縁歌芸人”風ノ翔馬 念願のデビューに涙 命名は大先輩・村上ショージ
元漫才師で、8月に吉本興業を退社後は“縁歌芸人”として活動する風ノ翔馬(24)が、11日にデビューシングル「青春は片道切符/哀愁の音色」を発売した。同日には故郷である兵庫県の神戸市内で新曲発表イベントを行い、同曲などを披露。ようやくたどり着いたデビューに感激の涙を流しつつ、一風変わった将来の目標へ向けての第一歩を踏み出した。
新曲イベントを終えた直後、「やっと(曲を)出せた…というのが今一番ですね」と感無量の表情で率直な思いを吐露。「吉本の中でも、曲を出したいというのは3年ほど前から話をしていて、その頃が一番つらかった。いろんな先輩方にいろんなアドバイスとかをいただいて、やっとこの日を迎えられたので、うれしいですね」と笑みを浮かべた。
小学校4年時からお笑いタレントを志し、2016年に地元の知人とコンビ「アンドロイド」を結成。17年に高校生お笑いNo.1コンテスト「ハイスクールマンザイ」で優勝し、後に特待生となったNSC(吉本総合芸能学院)大阪校を経て吉本興業に所属と、お笑いの“エリートコース”を歩んだ。
一方で「僕の好きなお笑いは“しゃべくり漫才”なんですけど、最近の『M-1グランプリ』とかを見ていて、最近のスタイルとして、僕の好きなお笑いが必要とされてないんだなって思った」と、自身と世間のスタイルのズレを意識。「しゃべりだけで笑いを取るよりキャラクターを生かすのがこれからの時代だと思った時に、自分は漫才では無理だなと。今の僕の好きな漫才はできないなと思った」と、お笑い一本での活動に見切りを付けた。
歌との本格的な出会いは、高校1年時。「テレビに出たくて」と「NHKのど自慢」に挑み、本大会に出場した。「その時のゲストが五木ひろしさんと丘みどりさんで、初めて生の歌というか、演歌というジャンルの曲に感銘を受けて、歌が好きになったんです」と明かした。
さらに「どんな歌を歌っても“演歌調”になるっていう特徴がありまして、NSC在学中にカラオケに行った時、当時流行っていた『パプリカ』とか『香水』を歌ったら、『コブシききまくってオモロイやん』って言われて、それをステージでやってみたんです。そしたらウケて」と、漫才師時代にも歌との接点を持ち続けた。コンビ解散後は、NHK紅白歌合戦の常連でもある歌手・三山ひろしから「二山しょう」の芸名を与えられ、歌手としての活動を本格化させた。
だが、吉本在籍中は検討こそされたものの、歌手デビューには至らず。8月末をもって事務所をCDプロデューサー・上野善教氏が代表を務める「オフィスYUN」に移籍し、芸名を吉本の大先輩であるタレント・村上ショージ命名の「風ノ翔馬」に改名。そこから約2カ月でデビューにこぎ着けた。この日、ステージ上で流した感涙は「この6、7年のこと、いろいろと思い起こしてという感じですかね…」としみじみ述懐した。
今後も「縁歌歌手」という肩書通り、歌手一本ではなく芸人との両立を志す。中でもこだわりが強いのが「前口上」。「心は芸人でありたい」と宣言し、巧みな話術で歌唱の前に観客を歌の世界にいざなうことに喜びを感じている。
「ゆくゆくは、五木さんのコンサートで前口上ができれば」と、歌手としては珍しい目標も口に。手本とする存在として、さまざまな人気歌手のコンサートで司会を務めるタレント・西寄ひがしの名を挙げ「一つのステージという意味では、お笑いも歌も変わらない」と熱っぽく語った。