西田敏行さん死去 皆に愛された喜劇のヒーロー “釣りバカ”ファミリーら芸能界に深い悲しみ

 映画「釣りバカ日誌20ファイナル」公開記念大感謝パーティーに出席した(前列左から)名取裕子、浅田美代子、西田敏行さん、三國連太郎=2009年
 映画「釣りバカ日誌11」で三國連太郎さん(右)と沖縄ロケを行う西田敏行さん=1999年10月
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 映画「釣りバカ日誌」シリーズやNHK大河ドラマ「八代将軍吉宗」「翔ぶが如く」などに主演し、温かみのある演技で親しまれた俳優の西田敏行(にしだ・としゆき)さんが都内の自宅で死去したことが17日、分かった。

 「釣りバカ日誌」シリーズなどで長年、タッグを組んだ山田洋次監督(93)は「喜劇のヒーローを演じる役者をぼくたちは失った、という喪失感の中にいます」と追悼のコメントを発表した。

 「学校」シリーズでは企画段階から西田さんをイメージ。「釣りバカ」も「この人がいなかったら、成り立たなかったはず」と全幅の信頼を置いた。何度も聞いた福島弁を懐かしみつつ「小太りの肉体、響きの豊かなバリトンの声、愛嬌のある目元、ヨーロッパではこういう役者をクラウンというそうだが、あの姿がもう見られない。偉大な日本のクラウンが去ってしまったことを私は心から悲しく思っています」としのんだ。

 「釣りバカ」の初公開は1988年12月。バブル経済まっただ中に、仕事そっちのけで趣味に生きる新たなヒーローを西田さんが体現し、大ヒットを記録した。続編の予定はなかったが、09年まで22本が作られる国民的シリーズとなった。

 江戸川大の西条昇教授(大衆芸能史)は「人間の弱さを見せる西田さんの喜劇的演技で成立した。渥美清さん演じる寅さんを継ぐ存在だった」と分析する。主人公のハマちゃんは釣りさえできれば人生は楽しいという愛妻家。社内で怠け者と見られているが、実は社長のスーさん(三國連太郎さん)が釣りの弟子で、立場逆転の珍道中を繰り広げて笑いを誘った。

 ハマちゃんの妻・みち子を演じた浅田美代子(68)は「三國さんが亡くなった日に、二人で献杯したね。今日は私一人献杯します。浜ちゃん、お疲れ様でした。そしてありがとうございました」と追悼。「天国で大好きなお酒を思う存分飲んで、そちらにいる仲間と宴会を楽しんでください」と呼びかけた。

 ◇松竹・迫本淳一会長「映画のスクリーンで光輝く西田さんの笑顔がもう新たに観られないと思うと本当に残念でなりません。余人をもって代えがたい最高の俳優の早すぎる幕切れに、心より哀悼の意を表します」

 ◇テレビ東京・石川一郎社長「テレビ東京のドラマ『釣りバカ日誌』での社長のスーさん役をはじめ、正月の10時間ドラマ『天下騒乱から徳川三代の陰謀』や映画『アウトレイジ』も好演していただきました。17年にはテレビ東京の入社式にもサプライズゲストとしてご参加いただくなど、グループも大変お世話になりました。日本のエンターテインメントの発展に多大な功績を残していただきました。謹んで哀悼の意を表します」

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