西田敏行さん 阪神タイガースを愛した素顔「石を投げつけられても応援し続けた」 プライベートでは生粋の虎党

 映画「釣りバカ日誌」シリーズやNHK大河ドラマ「八代将軍吉宗」「翔ぶが如く」などに主演し、温かみのある演技で親しまれた俳優の西田敏行(にしだ・としゆき)さんが都内の自宅で死去したことが17日、分かった。

 福島県出身でプロ野球・楽天のファンクラブ名誉創立会員に名を連ねる西田さんだが、子どもの頃から「石を投げつけられても応援し続けた」という虎党としても知られる。

 撮影中でも「阪神戦の結果が気になってしょうがない。毎日一喜一憂している」という筋金入りで、アニメ映画「がんばれ!!タブチくん!!」では、元阪神の田淵幸一選手をモデルとした主人公・タブチくんの声優を務めた縁もあった。

 1985年のリーグ優勝時には、神宮球場で現地観戦。「全員が落涙して、知らないおじさんと抱き合って、キスまでした」というほど歓喜し、その後「30人ぐらいでビアホールに行ったが、だれが勘定を払ったのか覚えていないほど飲みまくった」と、勝利の美酒に酔いしれたという。

 2003年3月に急性心筋梗塞で入院した際にも、阪神が心の支えに。後に会見した際には「阪神が勝つうちに、元気になった」と、笑顔で語り、同年、チームが18年ぶりのリーグ優勝を果たした際には、「18年ぶりに、また生きる力を私にくれました」と、心からの感謝を述べていた。

 猛虎愛ゆえに球団への厳しい言葉も口にした。2009年、7月の球宴を前に自力Vが消滅すると、当時の真弓明信監督へ「安全策を取りすぎて。もっと冒険してほしい」と苦言も。2019年に球団生え抜きの鳥谷敬選手が球団から引退勧告、事実上の戦力外通告を受けると「何を考えてるんですか。球団は情が少ない」と、怒りをあらわにした。

 かつて阪神の魅力を「チームそのものもさることながら、応援しているファンの人間くささや思いが魅力。野球が強烈に自分の生き方とシンクロしている。そんな愛しい人たちが大勢いるんですよ、タイガースファンって」と語っていた西田さん。「『人生そんなに甘くない』ってことをタイガースから教えられ学んでいる。そういう部分では僕はタイガースを取り巻く空気のファンと言えるかもしれません」。仕事では“釣りバカ”を演じ、プライベートでは阪神を愛し、虎党も愛した生粋の“虎バカ”だった。

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