西田敏行さん急逝 76歳 「劇場版ドクターX」会見出席から9日 突然の訃報に事務所もショック 関係者が発見

 映画「釣りバカ日誌」シリーズやNHK大河ドラマ「八代将軍吉宗」「翔ぶが如く」などに主演し、温かみのある演技で親しまれた俳優の西田敏行(にしだ・としゆき)さんが都内の自宅で死去したことが17日、分かった。76歳。福島県出身。西田さんは、8日に都内で行われた映画「劇場版ドクターX FINAL」(12月6日公開)の完成報告会見に出席。共演者と軽妙な掛け合いを見せるなど元気な姿を見せていたが、わずか9日後に帰らぬ人となってしまった。

 幾多の作品で異彩を放った“希代の名優”が突然この世を去った。

 捜査関係者や所属事務所の話を総合すると、自宅のベッドで倒れている西田さんを関係者が発見し、17日午後0時20分ごろに西田さんの家族が119番通報した。付き人から「救急車を呼びます」とマネジャーに連絡が入り、マネジャーも自宅へ向かった。所属事務所はそれ以降の詳細は把握できていないと説明。突然の訃報に困惑している様子だった。

 西田さんの自宅前は規制線が張られ、警察の捜査が行われた。午後3時過ぎに自宅前がブルーシートで覆われ、遺体を乗せたとみられる警察車両が出発した。午後6時過ぎ、自宅前で所属事務所の小林保男社長が報道陣の取材に応じ、「今日のところは何もお答えできません」と話すにとどめた。

 8日の「劇場版ドクターX-」のイベントが最後の仕事となった。西田さんは、他の共演者よりも座高が低いイスに座って参加。終始イスに座ったままだったが、「(主人公が)あまりにも素晴らしいオペの技術を持っておりますので、それに対して“シット”している。執刀じゃないですよ?ジェラシーね?」とダジャレを放つなど、普段通りの姿を見せていた。

 西田さんは幾度となく病を克服しながら、役者業に向き合ってきた。01年11月に手足がしびれる「頸椎性脊髄症」を発症し、手術を受けた。03年3月に心筋梗塞のため自宅で倒れ、緊急入院。好きだったタバコもやめて健康に努めていた。16年2月に自宅のベッドから転倒して「頸椎亜脱臼」と診断され、後に胆のう炎も発症していた。

 22年放送のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」や、今年1月期のTBS系ドラマ「さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~」に出演。近年は座ったままのシーンが多くみられたが、圧倒的な演技力で見る者を魅了した。来年放送のドラマ出演も決まるなど仕事を精力的にこなし、所属事務所関係者も「心臓の持病があったが、普通に日常生活を送っていた」と話していたが、道半ばで76歳の生涯に幕を閉じた。

 ◆西田敏行(にしだ・としゆき)1947年11月4日生まれ。福島県出身。70年に劇団青年座入団。「西遊記」「池中玄太80キロ」など多くのドラマに出演。NHK大河ドラマでは「翔ぶが如く」「八代将軍吉宗」「葵 徳川三代」で主演した。映画「釣りバカ日誌」での「ハマちゃん」役は広く親しまれた。「学校」で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞。歌手としても活躍。ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」の主役を森繁久弥さんから引き継いで演じた。08年紫綬褒章。18年旭日小綬章。

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