西田敏行さん死去 尊敬されたエンターテイナー 放送作家・山田美保子さん悼む
映画「釣りバカ日誌」シリーズやNHK大河ドラマ「八代将軍吉宗」「翔ぶが如く」などに主演し、温かみのある演技で親しまれた俳優の西田敏行(にしだ・としゆき)さんが都内の自宅で死去したことが17日、分かった。放送作家の山田美保子さんが故人を悼んだ。
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8日、「劇場版ドクターX FINAL」(12月6日公開)の完成報告会見に登壇され、キャストと共に笑顔でXポーズをとっていた西田敏行さんが亡くなった。享年76。
近年の出演作で、杖をついたり椅子に座りっぱなしだったりする様子が気になってはいたが、共演者から聴こえるのは「アドリブがすごすぎて笑うのを堪えるのに必死」という、お元気な西田さんを中心にした楽しそうなエピソードばかりだったので、突然の訃報がまだ信じられないという方ばかりではないか。
俳優としてドラマや映画に出演するだけでなく、歌手やMCとして、音楽番組やバラエティ番組にも理解を示された西田さん。
大御所なのに決して偉ぶることがなく、共演者を“ちゃんづけ”で呼んだり、縁の共演者のためにウィットに富んだコメントを出したりしたので、老若男女、多くの芸能人や業界関係者から尊敬され、愛されていたものだ。
即興で歌ったり踊ったりするのもお得意で、個人的には、1970年代、TBS系で公開生放送をしていた「ハッスル銀座」での西田さんの軽やかなステップや歌声が忘れられない。西田さんとは互いに売れる前からの大親友で、夜な夜な飲み歩いては即興で歌を披露し、飲み代をタダにしてもらっていたという松崎しげるとの「松ちゃん」「西やん」から始まるやりとりも当然すべてアドリブだったが、客席は常に爆笑の渦。コミカルなだけでなくセクシーさも持ち合わせていた西田さんを指名し、番組ラストにチークダンスを踊りたいという女性客も後を絶たなかったものである。
そして「ドクターX~」での歴代秘書とのやりとりや、妻役の藤真利子の尻に敷かれている様子、岸部一徳から請求書とメロンを受け取るときの西田さんの何とも言えぬ表情が忘れられない。多くのファンは米倉涼子が出したコメント「悲しすぎて悲しすぎて」と同じ想いだろう。エンターテイナー・西田敏行さんの御冥福をお祈り申し上げます。合掌。(放送作家)