俳優の佐野史郎が１８日、都内で行われた、血液がんなどの治療法として関心を集めている「ＣＡＲ　Ｔ細胞治療」の働きを知ることができるプラネタリウム作品「サイボウリム～ＣＡＲ　Ｔのある細胞世界～」の試写発表会に声優・梶裕貴と出席した。

　２１年に血液のがんの一種である多発性骨髄腫を発症した佐野は「現在の所は寛解状態で以前と変わらず元気」と説明。当時は治療を進めていく中、敗血症を併発したことが「一番きつかった」とした一方で、治療は「楽しんでいた」という。

　がんを宣告された当初を「『ドラマと一緒だな』って思って」と回想。「先生は『多発性骨髄腫だ』って、こういう言い方するんだなって思って」といい「僕の第一声は『どうしたらいいですかね？』だったけど、僕の今までの芝居は間違ってたんだなと思った」と苦笑。自身の状況を俯瞰し、ドラマのように捉えていたとして冗談交じりに説明した。

　また、２カ月の入院治療についても「いつもの仕事と一緒くらいで、闘病の間は現場に行ってるのと同じ気持ち」だったという。「その代わりにこの薬はどんな効果があってなぜ使うのかっていうのを先生に嫌になるくらい聞いたし、ハラスメントに近いかもしれないけど、看護師さん達一人一人になんでこの仕事を選んだのかとか、そういう所まで聞いてた」とまるで役作りのように闘病生活を送ったとした。

　実際、治療は楽しんでいたとしつつ「前向きではなかった」とし、「敗血症の時はものすごく苦しくて楽にしてくれて１回は思った」と本音を吐露。それでも「ただ生きて、ごはんを食べてお風呂に入って普通にするっていうのが一番のモチベーション」だったと振り返っていた。