桂雀々さん死去 64歳、肝不全 上方落語の発展に尽力 17年にはドラマ「陸王」で好演
落語家・桂雀々(本名・松本貢一=まつもと・こういち)さんが20日に肝不全のため死去したことが22日、分かった。64歳。大阪府出身。所属事務所が発表した。葬儀はこの日、近親者で執り行った。後日「お別れの会」を開く予定という。
所属事務所は「桂雀々は、糖尿病からの肝不全により、去る11月20日、64歳で永眠いたしました」と報告。雀々さんは15日に所属事務所のSNSを通じて、年内出演予定の落語会の休演を発表したばかりで「入院中も最後まで高座復帰を目指し療養に努めて参りましたが、残念ながらその願いは叶いませんでした」と最期まで仕事復帰への強い意欲を示していたことを明かした。
雀々さんは1977年、上方落語の桂枝雀さんに入門。同年10月に初舞台を踏んだ。07年には「桂 雀々独演会 雀々十八番」をシアターBRAVAで開催。全公演完売の大成功を収めた。芸歴35周年を迎えた11年には拠点を東京に移し、映画やドラマ、舞台などにも出演。17年にはドラマ「陸王」で嫌味な銀行支店長を演じ話題になった。
激動の人生だった。08年には自叙伝「必死のパッチ」を出版。12歳の時に両親が蒸発、借金取りに追い立てられた極貧生活や、父親に包丁を突き立てられ「一緒に死んでくれ…」と無理心中させられかけたことなど壮絶な過去をつづっていた。
02年の上方お笑い大賞最優秀技能賞や06年の大阪府舞台芸術賞奨励賞など受賞歴は多数。少年時代の苦労があったからこそ「噺(はなし)家をやってこられた」と語っていた。17年には芝居さながらの照明や回り舞台などを駆使した「スーパー落語」を創り上げるなど、落語の発展に尽力した人生だった。