テレビアニメ「忍者ハットリくん」のハットリカンゾウや米アニメ「トムとジェリー」のジェリーの声などを務めた声優で女優の堀絢子（ほり・じゅんこ）さんが１８日に老衰のため死去したことが２５日、分かった。８９歳。東京都出身。所属事務所が発表した。葬儀・告別式は近親者で行った。

　事務所によると堀さんは特段の疾患はなく、戦争や原爆をテーマにした一人芝居「朝ちゃん」の台本を読むなど普段と変わらずに過ごしていたという。最後の出演作は「チンプイ」でのチンプイだった。

　堀さんは青学大を卒業後、劇団キューピット、女優座、どらま座などを経て声優の活動に入った。出演作は数多あり、「忍者ハットリくん」、「トムとジェリー」のほか、「ウッドペッカー」のウッドペッカー、「ムーミン」のミィ、「新・ど根性ガエル」の五郎などがある。映画の吹き替えでも「がんばれ！ベアーズ」や「新・１３日の金曜日」などの出演者の声を務めた。

　高齢ながら仕事への意欲は衰えず、長く取り組んできた８９年初演の一人芝居「朝ちゃん」の台本読みを死去の直前まで行っていたという。同作は核兵器の非情さ、命の尊さを訴えた内容で、堀さんはライフワークとして取り組み、反戦を訴えてきた。