25歳女性落語家の人生を決めた運命の出会い 知識なしから桂米團治に弟子入り 入門2年でラジオレギュラー抜てき
落語家・桂米團治(65)の四番弟子・桂米舞(25)が、10月からラジオ関西「Clip」(月~金曜、後1・00)の木曜パーソナリティに就任。自身初のレギュラー番組に奮闘している。落語の知識がほとんどないにも関わらず、米團治との“運命の出会い”を経て落語界へ飛び込んだ異色の経歴を持ち、未知の世界で奮闘する新米落語家に迫った。
レギュラー就任から約2カ月、まだまだ生放送には慣れない。放送終了直後、米舞は「本当に緊張しっぱなしで…。読まなあかんお便りはなくすわ、曲振りを間違えるわ、まだまだ勉強中です。今夜は枕を涙でぬらすと思います」と、自虐を込めて語った。
番組でコンビを組むのは元読売テレビで現在はフリーとして活動する清水健アナウンサー。子どもの頃から見てきた存在を目の前に緊張感は増すが「真面目ですけど、すごくお茶目な方で、緊張をほぐしてくださる」と、感謝を口にした。
関大の落語研究会に所属し、2022年2月1日に桂米團治へ入門したものの、入門直前まで、落語に関する知識はほとんどなし。落研に入部したのも「お笑いが好きで、お笑いに関する部活が落研しかなかった。お笑い好きの友だちが作れたらいいな、ぐらいの気持ちだった」といい、落語家を目指すとは思ってもいなかった。
しかし大学入学後、新型コロナによって生活が一変。対面授業がなくなり、落研も辞め、「精神的にすごく落ち込んで、大学を辞めようかどうか迷っていた」という状態まで追い込まれた。そんな時、米團治の落語会を見る機会に恵まれ、「久しぶりにお腹を抱えて笑えたんです。進路に迷っていたこともあって、この人に付いていきたい、とすごく強く思いまして。落語が好き、というより、もう師匠に惚れた、という感じです」と、その場で弟子入りを決意したという。
「この道しかない」という自身の直感に従って大学を辞め、アルバイトで費用をためて運転免許を取得するなど、1年をかけて準備し、弟子入りを直訴した。「もう後がないんです」と、号泣しながら語る米舞に、米團治ももらい泣きしながら弟子入りを許してくれたという。
弟子入りから1年もしないうちに全国デビューを果たす。NHK「サラメシ」の新入社員特集に落語家の新入りとして出演。翌年には舞台出演する米團治に付き人として同行した際、演出家の目に留まって急きょ役を与えられた。「未熟な状態でスポットライトが当ててもらえているのが申し訳ない」と言いながらも、ラジオのレギュラーも異例のスピードで決まり、期待を掛けずにはいられない。
現在は内弟子として師匠と生活を共にし、「仕事のことから恋愛相談まで、うちの師匠はほんまに何でも聞いて下さる。毎日がすごい幸せで、生きてるなって実感します」と、充実感を漂わせる。「ホンマに師匠が大好きで、ものすごく愛情深くてで惜しみなく注いで下さる」と、感謝しつつ、「私にとってはもう1人のお父さん。絶対介護するぞって気持ちでいつもいます」と笑わせた。
落語界に飛び込んで約2年、様々な知識や常識を吸収してきた。思い描く理想はやはり米團治だ。「師匠みたいに華やかで、人の人生を動かすようなパワーで、元気を与えられるような落語ができたらな、と思います」と、決意を込めた米舞。「とにかくお客さんに笑ってもらいたいです」と、強い思いを口にした。