高橋陽一氏 日本のW杯優勝も「近づいてきている、決勝Tの戦い方を突き詰めていければ」【インタビュー最終回】
デイリースポーツで連載がスタートした漫画『キャプテン翼』。原作者・高橋陽一氏(64)のインタビュー最終回は地元・葛飾区に建設が計画される夢のサッカー専用スタジアムや、W杯優勝を目標に成長を続ける日本代表など、夢に描く世界へ飛躍する未来の日本サッカーについて熱く語った。
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-葛飾区にいろいろな複合施設を備えた新スタジアム構想もある。
「はい。キャプテン翼ミュージアムみたいなのも含めたいろいろな施設があって、それこそサッカーがない日でも人が集まれるような状況にしたいと思っています」
-葛飾から世界に発信する力にもなる。
「新スタジアムは本当に新小岩駅のすぐそば。東京にサッカー専用スタジアムは数少なく、地域の発展に貢献できる場所にもなる。南葛SCは『キャプテン翼』のチームということで、海外からの注目度もさらに上がるだろうと。海外の有名チームにいた選手を呼ぶことも可能かなとも。カテゴリーが上がれば上がるほど、価値が出るクラブだと思っています」
-23区内で街中のJ1仕様のサッカー専用スタジアムは、まさに夢のスタジアムとなる。
「まだ葛飾区が土地を取得してくれた段階で、座組を含めて詳細はこれからなのですが、完成するまでは頑張りたいと思います。(その頃には)Jへ上がっていたい。そういう夢を描いて」
-『キャプテン翼』やプロリーグ発足の一大ブームも受け、日本サッカーも急速に成長を遂げた。
「すごいスピード感で強くなってきたなと実感しています。W杯を見ていると、お国柄みたいなものがサッカーにも現れると思っていましたが、日本らしいサッカーがだんだんと確立されてきていると思います」
-今まではなかった。
「最初はいろいろなところからの要素を取り入れてきました。ドイツのような組織的に行くか、ブラジルなどの南米スタイルに行くかと試行錯誤した結果、何となく日本独特の、日本らしい、日本の特徴を生かしたサッカーができてきている気はします」
-W杯優勝も夢では無くなってきたか。
「近づいてきていると思います。W杯出場が目標だった時代があって、W杯に出るのは当然という感じになって。今また決勝トーナメントに進まないとダメだというぐらいまで来ている。今度は決勝トーナメントの戦い方。優勝した国などはそのノウハウを持っているかもしれないですけど、その辺を突き詰めていければ、もっともっと近づくと思います」
-高橋先生にとって『キャプテン翼』とは。
「本当の意味でのライフワーク。自分が死ぬまで描き続けなきゃいけないなって思っているので。命ある限り描ければなと。実在の人物のように、翼たちキャラクターが生き生きと動いてくれたらうれしいです」
-漫画で翼くんたちのW杯優勝も楽しみです。
「そうですね。(現実の代表と)どっちが先か…ですね(笑)」=おわり=
◇高橋 陽一(たかはし・よういち)1960年7月28日、東京都葛飾区出身。80年に「週刊少年ジャンプ」での読み切り作品『キャプテン翼』で漫画家デビュー。翌81年に連載開始。83年からはテレビアニメ化され、日本にサッカーブームを起こした。2013年には地元・葛飾区のサッカークラブ「南葛SC」の後援会会長を務め、19年からはオーナー兼代表取締役に就任。23年には漫画を通した多大な貢献から日本サッカー殿堂入りを果たした。