堂本光一「Endless SHOCK」25年目の大千秋楽 カーテンコール涙なし「やりきった」
KinKi Kidsの堂本光一(45)が主演するミュージカル「Endless SHOCK」が29日、東京・帝国劇場で大千秋楽を迎えた。2000年から単独主演を務めてきた「SHOCK」シリーズは、帝劇の建替による一時クローズにあわせて、25年目の今年でシリーズの終了が発表されており、この日が最終公演となった。全2128回という前人未到の歴史を刻んだ光一の目に涙はなく「やりきった」とすがすがしい表情で話した。
日本の演劇界に刻まれた伝説の舞台に、幕が下りた。鳴りやまない拍手の中、カーテンコールに登場した光一は「2000年に幕を開けた当時は21歳、ただの若造だった。そんな自分を信用し、帝劇のステージに立たせてもらい、毎年この景色を見せてくれて心より感謝を申し上げたい」。その目に涙はなく「思い残すことは何もないし、やれることはやりきった」と胸を張った。
総合芸術の一つの極致だった。初演時から幾度となく内容をアップデート。合計3時間を超えるステージは歌唱やダンスだけではなく、殺陣、フライングなどエンターテインメントがふんだんにちりばめられた。見せ場の一つで02年に始まった「階段落ち」は、22年間で計1923回演じた。22段、高さ4・84メートルを毎回落下。その合計は4万2306段、高さはエベレストの標高8848メートルを超える、9307メートルにも達した。
自身が演じる主人公についても「ステージに立つ人間の究極系として描いてきた。だから24年演じているのは辛かった。だって俺、究極体ではないから」と吐露。「何ができるかというと気持ちしかない。気持ちをずっと維持するのは、自分でも頑張りました」と話すように自らを削り取るような作業を続けてきた。「いろいろとボロボロです」と苦笑いするが、だからこそ涙はなく、やりきったと胸を張れる。
5月には国内の単独主演記録1位となる2018回公演を達成した。その後も前人未到の記録を伸ばし続けてきたが、道のりは平たんではなかった。光一自身「あってはならない事故もあったし、天災もあった」と振り返るように、11年は上演中に東日本大震災が発生。15年には公演中に事故も起こり、20年以降のコロナ禍では感染症対策にも腐心した。「僕はもうすぐ46歳で、人生の半分はきたのかな。これから先、『SHOCK』よりもっと刺激的なことが起こるだろうかと思うと、多分ないと思う。すべてを経験させてもらった」と振り返る。
そんな作品への思いを問われ「今後にも期待を込めて、永遠であってほしい。これからもこの思いは持ち続けて生きる」と語った。そして「誰かに受け継いでもらえたらうれしい。夢ですよね、自分が積み重ねてきたものを表から見るのは」と未来への希望を込めた。
◆SHOCKの軌跡
▼2000年11月2日 「MILLENNIUM SHOCK」開幕。光一は帝国劇場史上最年少21歳の座長
▼06年 製作会見で光一がファイナルをにおわす。ファンの要望殺到で継続
▼08年1月6日 通算500回上演達成。森光子さんがお祝いに
▼09年3月12日 626回上演。森繁久弥さんの帝劇単独主演記録を23年ぶりに更新
▼13年3月21日 1000回上演。東山紀之と堂本剛がお祝い
▼14年10月26日 1208回上演。松本幸四郎(現白鸚)の「ラ・マンチャの男」の1207回を超え、ミュージカル単独主演記録を更新
▼17年3月31日 1500回上演。東山と森公美子がお祝い
▼20年 9・10月の大阪公演で「Endless SHOCK -Eternal-」初上演
▼21年2月1日 映画「Endless SHOCK」公開
▼同2月12日 1800回上演
▼22年5月31日 1900回上演。自身の持つミュージカル単独主演記録1位を更新し、通算2000公演まであと100回に迫る
▼24年1月20日 帝国劇場の改修に合わせて、11月の公演で「SHOCK」を終了すると発表
▼24年5月9日 2018回上演。森光子さんの「放浪記」2017回を更新し、単独主演記録1位に
▼9月28日 2100回公演を達成
▼11月29日 ラスト公演、25年でピリオド