【山田美保子のミホコは見ていた!】ありきたりではない俳優・前原滉に大注目
テレビの構成作家が念願のドラマ脚本家としてデビューするまでの実話がベース。夢を掴んだ矢先、偶然出会った彼女に翻弄され、奈落の底に突き落とされる青年が主人公の映画「ありきたりな言葉じゃなくて」が20日、全国公開される。
監督・脚本を担当した渡邊崇氏が主演に指名したのは前原滉。氏は前原の写真をパソコン脇に置いて仕上げたというから、いわば“あてがき”だ。一度はオファーを断った前原だったが、氏の熱き想いと、初の長編オリジナル映画を製作する「テレビ朝日映像」のスタッフらの熱量にほだされ、自身の代表作となりうる主演映画を完成させた。
前原は今年7月期、「クラスメイトの女子、全員好きでした」(読売テレビ・日本テレビ系)と「スカイキャッスル」(テレビ朝日系)の2本に出演。
10月期は、「モンスター」(カンテレ・フジテレビ系)、「若草物語-恋する姉妹と恋せぬ私-」(日本テレビ系)、そして「下山メシ」(テレビ東京系)と3本の連ドラの最終話ゲストに指名されたのだ。
前半は1話完結だった「モンスター」は、いよいよ趣里と父親役の古田新太が親子で裁判に挑む。前原は同じく最終話ゲストの前田敦子の幼馴染み役で環境汚染が疑われる村の出身。「若草物語」では四姉妹の長女役、仁村紗和と結婚式を挙げ、毎回、個性派ゲストが登場する「下山メシ」の最終話では、志田未来が弘法山で出会う男性を演じる。
平和的な笑顔が愛らしい“いいひと”を演じたと思えば、口数の少ない謎の役や、救いようのないダメ男、犯人役などにも挑戦してきて、その全てにハマる前原は、注目のカメレオン俳優であり、バイプレーヤーなのだ。「ありきたりな~」での構成作家役も、これ以上ないという程のハマりっぷりで、筆者の作家仲間らと企画会議に出席していたとしてもフツーに馴染んでしまうに違いない。
視聴者にとってはまだ抜群に知名度があるとは言えないが、プロデューサーや演出家、ドラマ評論家の多くは数年前から前原を大絶賛。上司役の竹野内豊とコミカルに演じる「タクシーアプリGo」のシリーズCMは、2021年のオンエア開始以来、好感度調査の上位をキープし続けている。
小栗旬が社長を務める「トライストーン・エンタテイメント」では異色の存在。2025年1月期の月9「119エマージェンシーコール」(フジテレビ系)出演にも期待が集まる。多方面から指名を受ける32歳、前原滉にますます注目だ。