俳優の前田拳太郎（２５）が“役者”という職業と真摯（しんし）に向き合っている。２５年１月１５日スタートの日本テレビ系連続ドラマ「こんなところで裏切り飯　～嵐を呼ぶ七人の役員～」（水曜、深夜０・２９）で新庄凛太郎役を演じ、新年１発目の仕事に挑む。前田は２１～２２年にテレビ朝日系「仮面ライダーリバイス」で初主演を務め、一躍注目を集めた。放送終了後も数々の作品で着実に実績を積んでいるが、現状に満足せず、悩みながら「演技」と向き合い続けている。

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　－新年１発目のドラマ「こんなところで裏切り飯－」での役どころは。どんな役作りをしたか。

　「僕が演じる新庄凛太郎は食に興味がなくて、食べられれば何でも同じだから、普段はゼリー飲料を食べている。コスパやタイパを意識している今ドキな人だけど、裏切り飯と出会うことで変化していくキャラクターなので、そこの変化を楽しんでもらえたらいいなと思います。僕はグルメ物は初めて。撮影でご飯を食べるシーンがなかなか難しいので、食に興味のない人が裏切り飯を食べてどういうリアクションするかというのが腕の見せどころ。前作から続投している共演者の方がおいしそうに食べているので、見て勉強させてもらっていました」

　－食にこだわりは。

　「僕は食べることが大好き。栄養を気にしていて、ちょっとビタミンが足りないなと思ったら、ゼリー飲料やサプリを飲みます。もっとタンパク質を取ろうとか意識していますね。ご飯は、友達と食べる時が好きです。大学生の時にサウナにハマって、今も友達とサウナによく行く。僕らはサウナに行った後におでん屋さんに行って、おでんを食べるルーティンが多い。具は玉子、ちくわ、はんぺん、白滝は頼みます。これだけかけておけば何でもＯＫな調味料は七味唐辛子。辛いのが好きで、何でもかけてしまいますね。前田家のご飯が辛くて、タカノツメもごろっと入っている。一度ハマったら飽きるまで食べているタイプ。ただ全然食べなくても生きていけるんです。役作りで２週間くらい野菜と水で過ごした時もありました」

　－空手三段で、中３で全国大会優勝した経験も。

　「空手は幼稚園の年中の時、友達が『空手をやりたいから、一緒に行こう』と誘われて何となく始めたんですよ。高校まで１３～１４年やった。テスト期間は勉強だけど、それ以外は年に５日は休みだったらうれしいくらいに打ち込んでいました。空手は当たると痛いですし、寸止めではありますけど、ぶつかる時もあります。結構部員たちは前歯ないですね（笑）。でも歯が飛んでも、そのまま誰も気にせず、部員に『はい』と歯を渡していました。空手をやっていて良かったのは礼儀。小さい頃から言われていたので。たたずまいもそうですし、シンプルにアクションの時はやっていて良かったなと思う。仮面ライダーをしていた時は特にそう思いました」

　－今年を振り返って。

　「昨年は仮面ライダーが終わったばかりで、がむしゃらにやってきた１年だけど、今年は視野が広くなってきて、こうしておけば良かったなとか自分の事が見えるようになってきました。自分がダメだった部分が見えてくる１年で課題の残る年でした。すごい役者さんがたくさんいる中で、その方たちと比べて自分どうなんだろうと。自分探しをしていて、漢字一文字なら『悩』ですかね。２１年にデビューして、ありがたいことに仮面ライダーからスタートで、良いペースではやってきているけど、満足しているかと言われたら、そんなことはない。課題もあるし、悩んでいる。『もっとできる』と自分に言い聞かせながらやっています」

　－年始めにドラマの放送が控えているが、２５年はどんな年にしたいか。

　「まだ自分というものも分かっていない状態なので、来年は地に足着けて頑張りたいと思っています。たくさん勉強する年にしたいですね。お芝居のことで、いろんな作品を見たい。本でも映画でも街中を歩いているだけでも勉強になるので、インプットを増やして役者としての完成度を上げていきたい。実力をつける年にして、再来年とかでしっかり勝負をかけられるようにしたい。そのための準備期間にしたいです」

　◇前田拳太郎（まえだ・けんたろう）１９９９年９月６日生まれ、埼玉県出身。２１年４月にテレビ東京系ドラマ「ラブコメの掟～こじらせ女子と年下男子～」で俳優デビューし、同年９月にテレビ朝日系特撮ドラマ「仮面ライダーリバイス」で五十嵐一輝／仮面ライダーリバイ役でドラマ初主演を務めた。今年１０月にアニメ映画「ふれる。」で声優初挑戦した。身長１８２センチ。趣味は読書、漫画、アニメ。特技は空手（三段）で、中学３年生の時に全国大会優勝経験がある。