直木賞作品「木挽町のあだ討ち」が新作歌舞伎に 主演の市川染五郎「僕自身もワクワク」4月に歌舞伎座で上演
直木賞と山本周五郎賞をダブル受賞した永井紗耶子氏の時代小説「木挽町のあだ討ち」(新潮社刊)が、東京・歌舞伎座の「四月大歌舞伎」(3~25日)において、市川染五郎主演の新作歌舞伎として上演されることが9日、分かった。
「木挽町のあだ討ち」は江戸・木挽町の芝居小屋を舞台に、美しい若衆が成し遂げた仇討の真相に迫る物語。染五郎、染五郎の父・松本幸四郎が出演する。
脚本・演出は歌舞伎やミュージカル、大劇場のストレートプレイなど、所属する新派以外の舞台でも活躍する齋藤雅文氏。染五郎の祖父・松本白鸚、幸四郎の舞台も数多く手がけ、2022年6月に染五郎が17歳で初めて歌舞伎座で主演した「信康」も手がけた。
染五郎、永井氏、齋藤氏のコメントは次の通り。
市川染五郎「直木賞も受賞された永井紗耶子先生の『木挽町のあだ討ち』の歌舞伎化に携わることができ、大変嬉しく思います。受賞されたニュースを聞いた当時から、タイトルに“木挽町”と入っていることもありきっと歌舞伎にぴったりだと思っていましたので、出演させていただく僕自身もワクワクしております。齋藤雅文先生はじめ皆さまのお力をお借りしながら、原作をすでにご存知の方にも納得していただける作品を目指してまいりますので、どうぞお楽しみに!」
永井紗耶子氏「8歳の時、初めて歌舞伎を見て、こんなにもわくわくするものがあるのかと、感動したことを覚えています。以来、ことあるごとに歌舞伎座に足を運び、芝居に力を貰ってきました。この『木挽町のあだ討ち』は、私の歌舞伎好きを知った編集者からの提案で書き始めました。連載の途中、コロナ禍に入り、芝居が『不要不急』と言われるようになりました。私にとって、芝居はなくてはならないものです。その想いを込めて書いた小説が、こうして歌舞伎座の大舞台で上演されることは、小説家として望外の幸せです。しかも、かつてライターとして取材させていただいた松本幸四郎さんが、市川染五郎さんと親子でご出演いただけるなんて……。客席で手が痛くなるほど拍手をしていた幼い日の自分に、このことを自慢したいです。これまで、この作品を愛し、応援して下さった読者のみなさま、そして、歌舞伎として制作に携わって下さったみなさまをはじめ、多くの方々に、改めて感謝を申し上げます」
齋藤雅文氏「これは世間からはみ出した一癖も二癖もある芝居者たちの『バックステージもの』です。仇討を通して困難に立ち向かう若者を、守り援ける人々の情愛と心意気の人間賛歌。これはそのまま、舞台に命を賭ける我々すべての演劇人の物語です。染五郎さんの青春の証しを歌舞伎座の舞台に、渾身の力で刻み込みたいと思っております!」