サザン 被災地で魂の熱唱「すてきな春が訪れますように」6年ぶり全国ツアーを石川からスタート

 国民的バンド・サザンオールスターズが11日、金沢市の石川県産業展示館4号館で、6年ぶりとなる全国ツアー「サザンオールスターズ LIVE TOUR 2025『THANK YOU SO MUCH!!』」の初日を迎えた。5月末まで全国13都市のアリーナとドームを巡る全26公演、総計約50万人の動員が見込まれるメガツアーは、昨年の元日に発生した能登半島地震で甚大な被害を受けた石川の地からスタート。2時間半のステージでは、魂の歌唱を被災地に響かせた。

 最強寒波を吹き飛ばす熱気と幸福感が会場に満ちていた。冒頭、桑田佳祐(68)が「お久しぶりでございます。生まれ故郷の金沢に帰ってきました、サザンオールスターズです」とあいさつ。1999年4月以来となる金沢でのステージに「26年ぶりに寒波と一緒に帰ってきました。だいぶ年老いてしまいましたけど、アルフィー(THE ALFEE)よりは年下、サザンオールスターズです」と、ユーモラスな自己紹介で沸かせた。

 多くの人が待ちわびていた全国ツアー。第1歩が石川となったことには、グループとしての強い意志が反映された。

 能登半島地震や昨年9月の豪雨など自然災害が続き、今なお厳しい状況が続く地から全国へ。今年の元日には被災地に向けて「『我々に出来ることは何か?』それは“音楽を作り、皆様へお届けすること”に尽きる」とメッセージも送った。

 この日はご当地ソングとして石川さゆりの「能登半島」を歌唱し、サザンの楽曲の間奏でも「フレー、フレー北陸」、「頑張れ、頑張れ能登半島」とエール。終演後には「ありがとう北陸!!」の横断幕も掲げた。

 昭和、平成、令和を駆け抜けるデビュー47年目のサザンだが、チャレンジングな姿勢は変わらない。新アルバムと同名のツアーが、発売2カ月前から始まる異例の形となった。「海」、「ミス・ブランニュー・デイ(MISS BRAND-NEW DAY)」といった象徴的な楽曲はもちろん、新アルバムからは「桜、ひらり」、「夢の宇宙旅行」をライブ初披露。未発表曲も歌唱した。数々の大ヒット曲に頼らずとも、ファンを大興奮させる圧巻のパフォーマンスを見せた。

 笑いあり、涙あり、感動ありの、めくるめくサザンワールドを届けた2時間半の夢舞台。サザン一同は「皆さんの元に、すてきな春が訪れますように」と祈りをささげた。冬の北陸・石川から、春を越えて初夏の東京まで、全国各地を駆け巡り、魂を震わせる。

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