小林薫が明かす「深夜食堂」の秘密とは

 深夜の食ドラマブームの先駆けで、ひそかなロングヒットとなっているTBS系「深夜食堂」が映画化され、31日から公開される。原作は累計230万部を発行した安倍夜郎氏の人気漫画。東京・新宿の繁華街にある通称“深夜食堂”で、客たちの人生模様が交差する。2009、11、14年と3シリーズが制作されたドラマ、そして今回の映画で主人公のマスターを演じる名優・小林薫(63)が、デイリースポーツに「深夜食堂」の秘密を明かした。

 小林は「深夜食堂」を、「それぞれ事情がある人がちょっと小さな飯屋に寄って、何かドラマを見せていく」作品だと紹介した。

 09年、オファーされた小林は「あのテイストをどうやって映像化していくのかっていうのは難しい問題だ」と思った。それを解決したのが「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」(07年)「歓喜の歌」(08年)で組んだばかりの松岡錠司監督だった。

 小林のスタッフから話を聞いた松岡監督は、ドラマながら撮影、照明、美術、フードスタイリストなど映画のスタッフを招集。作品の大きな魅力である、飯屋とその周辺の“深夜食堂ワールド”をゼロから作り上げた。

 ドラマの名演出家である、故久世光彦さん作品の常連だった小林も、久世さんの代表作「寺内貫太郎一家」などに出てくる「伴淳(伴淳三郎)さんだ、由利徹さんだ、左とん平さんとかっていい大人が集まっている飲み屋」を舞台に、と提案。客も建物も「昭和テイスト」な食堂の作り方に反映されている。

 深夜枠ゆえ予算は少なかったが、小林は「みんなね、たぶん薄給っていうかね、ギャラ合わないような仕事をやっててね、そこ頭下がるんだけど、みんな面白がってることは確か」と、映画人の心意気を証言した。

 松重豊、不破万作ら、常連客を演じる俳優陣の「深夜食堂」愛も負けてはいない。みな、「(スケジュールが)引っかかったりするんだけど、何が何でも、1話だけでも出たいと楽しみにしてたりする」という。

 映画版は119分でエピソードが3つ。放送枠30分で「コンパクトにまとめなきゃならない」ドラマに比べ、より丁寧に描かれている印象がある。

 小林は「映画って、余白がないと映画にならない。テレビの場合は『こういうお話でしたよ』っていうのをポンとお客さん(視聴者)の方に伝えて渡してあげるっていう作業が必要。映画の場合は全部作って『どうぞ』って言うと何か映画っぽくなくて。『何なんだろう、あの時間』とか『あれって何だったんだろう』的な時間が必要」と、両者の違いを説明した。

 続編については「映画がちょっとヒットすれば、それなりの話は出てくるのかも」と控えめ。とはいえ、「もう1回と言われたらやぶさかではない?」と聞くと、「ですね!」と即答だった。

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